建設業種の上場企業154社(※)を対象に、2019年3月20日時点の時価総額をランキング形式で紹介します。時価総額は、その時点での会社の価値や将来性への期待を表す指標となります。業界全体を見れば好景気に沸いていますが、世間の耳目を集める不祥事も多数報じられました、時価総額は約1年前と比べ、どう変化したでしょうか。(リビンマガジンBiz編集部)

※注=編集部基準

集計方法

・2019年3月20日時点の時価総額を集計

・調査対象は、2017年11月30日集計の「建設業界 時価総額ランキング」にて対象とした企業のうち、上場廃止となった13社を除く上場建設会社154社

・参考値として「売上」「経常利益」を掲載。ただしスペースバリューホールディングス(旧日成ビルド工業)は2018年10月に持株会社を設立後、2018年4~12月期連結決算の発表を延期したため、時価総額のみ記載

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時価総額が1兆円を超える建設会社は4社

1位は大和ハウス工業で、時価総額は2兆3444億9200万円となりました。大和ハウス工業は住宅建設業界最大手の住宅総合メーカーで、「D-room」ブランドの賃貸住宅や、商業施設の建築、流通店舗事業などを手掛けています。

足下の事業は好調ですが、大和ハウス工業は2019年3月13日に、中国の関連会社で、約234億円という巨額の会社資金が横領されたと発表しました。3月20日時点の時価総額は、2017年11月時点の時価総額2兆7409億円と比べて4000億円ほどのダウンとなっています。企業価値を下げる不祥事ではありましたが、2018年末からの株式市場全体の影響を考慮すれば、そこまで大きな下落とはなっていないようです。

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2位は積水ハウスで、時価総額は1兆2577億3500万円となりました。積水ハウスは大手住宅メーカーで、戸建て住宅の販売の他、マンションやアパート、オフィスなどを幅広く手掛けています。

積水ハウスについては、東京・五反田駅近くの土地に関し、地面師による詐欺被害に遭っており、犯人逮捕に関連して2018年秋ごろに、この問題が大きく報じられました。この一件と年末の株安の影響もあって12月には大きく株価が下がっています。その後持ち直し、2019年3月時点の時価総額は、2017年11月時点の時価総額1兆4466億円と比べ、約1900億円ダウンとなっています。

3位は大東建託で、時価総額は1兆1862億3900万円となりました。大東建託は土地所有者に土地活用を提案する、提案型営業に独自のノウハウを持ち、「賃貸経営受託システム」を特色としています。

大東建託は2017年11月時点の1兆5793億円から4000億円近くのダウンとなっています。賃貸アパート大手のレオパレス21の施工不良問題の余波で、地主に賃貸住宅を提案する大東建託の株も売られましたが、最近の株価は上昇傾向にあるようです。

4位は大成建設で、時価総額は1兆1653億6900万円となりました。大成建設は、俗にスーパーゼネコンと言われる大手総合建設業5社の中で唯一の非同族会社で、現在は国内建設事業に集中しています。

大成建設は1兆3248億円から1600億円ほどのダウンとなっています。こちらも主に年末の株安で値下がりした影響がありますが、現在は持ち直しつつあります。

建設会社時価総額ランキングトップ10 レオパレス21の時価総額は?

続いて、5位から10位までの建設会社をご紹介いたします。

5位 鹿島 8717億5400万円

6位 大林組 8037億6200万円

7位 清水建設 7617億500万円

8位 長谷工コーポレーション 4352億4900万円

9位 コムシスホールディングス 4172億1900万円

10位 日揮 3960億9200万円

対象とした建設会社154社全体の時価総額は16兆9132億1700万円となり、上位10社の合計は9兆6396億1600万円と、全体の約57%を締めています。

レオパレス21の施工不良問題は、建設業界や不動産業界に大きな影響を与えています。レオパレスは不動産会社区分なので今回のランキングの対象外ですが、時価総額は2019年3月時点で592億6200万円となっています。2017年11月時点での時価総額は約2274億円でしたので、4分の1近くにまで会社の価値が下落したことになります。不祥事が企業価値にどれほどの影響を及ぼすのかがわかります。SNSなどの発展によって企業の評判は経営に直結すると言われており、この傾向は年々たかまっています。コンプライアンスの遵守が求められます。

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