賃貸オーナーの収入と支出とは? ~収支の見える化とシミュレーションでお金が残るオーナーに~

家計簿

貸オーナーの悩みに「思ったよりお金が残らない」「修繕費や税金の支払いに追い立てられてしまう」というものがあります。収支を見える化してお金の流れを把握すれば、お金を残すための方法を見つけやすくなります。経営状況の悪化を防ぎ、できるだけ賃貸収入を増やしていくにはどうすればいいか、検討できるようになるのです。

 「賃貸経営は事業である」と認識しよう

賃貸物件のオーナーの中には、たとえば「親から物件を相続した」などの理由で、その物件にまつわるお金の流れを把握しないまま経営を引き継いでしまう人もいます。いっぽうで、経営者感覚を持ち能動的に賃貸管理に関わる人もいます。賃貸経営に成功しやすいのは後者のタイプの賃貸オーナーです。

まずは「賃貸経営は事業である」と認識し、事業を成功させるのだという意識を持ちましょう。

 

賃貸オーナーの収入とは?

賃貸物件から得られる収入としては、家賃収入があります。

これに加えて、サラリーマンや他の事業の経営を行っている人は、給与所得や事業所得があるでしょう。収入が多ければ場合には、多額の所得税・住民税などを納める必要が出てきます。定年退職後、引退後など、給与や事業収入がなくなったときに、生活費をどう確保するか(年金などで賄えるのか、家賃収入から生活費を捻出するのかなど)を検討しておきましょう。

 

賃貸オーナーの支出とは?

賃貸経営を始めると、賃貸物件の管理費、修繕費がかかります。修繕費には定期的に行う大規模修繕の費用と、突発的に故障が起こった場合の費用が考えられます。

物件の購入・建築にあたって受けた融資の返済(元金+利息)を行わなければならず、生活費もかかります。その他、後から考えると何に使ったのか分からない支出が出てくることもあります。

 

  • 収支の変化(予定)について

予想できる空室率の変動、大規模修繕の予定、オーナーのライフイベントなどを一覧表にまとめ、対策を立てましょう。

 

現在

5年後

10年後

15年後

20年後

……

賃貸事業上の予定

 

 

大規模修繕

デッドクロスの時期

大規模修繕

 

オーナーの年齢、

ライフイベント

55歳、子どもの卒業・就職

60歳

65歳、定年退職

70歳、事業承継を考慮する

 

……

 

収支の状況を「見える化」する

賃貸物件のオーナーとなると、様々な人が集まってきます。「お付き合いで銀行口座を開き、資産の全体像やお金の流れが把握しづらくなる」「なんとなく交際費がかかる」という悩みが出てきやすいのです。また、「生活費を、必要な都度、無計画に引き出しているうちに賃貸物件の収支が分からなくなる」というケースもあります。

経営者としての感覚を養う第一歩として「事業用・プライベート用の銀行口座を分ける」ことから始めましょう。あまりにも増えすぎた銀行口座は、「使う口座・使わない口座」をはっきりとさせ、「どの口座から何の支出が引き落とされているのか」を明確にしておきます。また、生活費の引き出しは、「毎月の上限金額を決め、プライベート用の口座に移してしまう」ことにして、使い過ぎを防ぎましょう。

 

収入を増やすためには?

家賃収入を上げるためには対策が必要です。マンションやアパートは「建てさえすれば、入居者が集まる」という時代ではなくなっていることを知り、空室対策を積極的に行いましょう。

 

  • 空き室対策の具体例

・「目標とする入居率」「現在の数値」を明確にし、「あと何部屋の入居を決めると目標が達成されるか」を意識します。

・地域のニーズ、現在の入居者の不満などを把握するよう心がけ、賃貸経営に活かします。

・物件の「人気の高い階」「そうでない階」を把握します。たとえば「防犯上の問題から1階の部屋が空室になりがち」という場合、防犯対策を強化する、あるいは1階だけ賃料を下げる、1階のみペット可にするなどの改革を行います。

・角部屋は人気が高いのですが、室内の温度が外気温の影響を受けて変化し、夏は暑く冬は寒くなる傾向があります。角部屋以外の部屋を売り出す際、「外気温の影響を受けにくく節電効果が狙えます」と強みをアピールするとともに、角部屋は性能の高いエアコンを設置しておくなど、マンション・部屋の構造に応じた内装を行います。

・修繕が必要な個所を放置すると、物件全体の印象が悪くなります。修繕費を計画的に積み立てておき、物件全体の清潔感や防犯意識の高さをアピールしましょう。

・空室が出た場合、破損した箇所の修繕など小規模なリフォームを行うだけで良いのか、リノベーションを行って内外装に付加価値を加えるのが良いのか、迅速に判断しましょう。

・入居希望者が内覧をする際には、何もない空間に案内するのではなく、カーテン、タオル、野菜・果物の置物などを適所に配置し、その部屋での生活をイメージしやすい状態にしておきましょう。

 

 支出を減らすためには?

既に述べた通り、修繕費はできるだけ削らないようにしましょう。修繕費をかけると、その分だけ経費が計上できるため、所得税・住民税の節税につながります。

「修繕費をかける余裕がない」という場合は、まず生活費を抑えることを検討しましょう。生活費としてなんとなく消費にあてるより、修繕費をかけることで節税がかない、お金が残るということにもつながるからです。

もし、よく分からずに支出してしまっている費用があるなら、できるだけ内容を明確にし、必要でない出費は抑えるようにしましょう。

 

 将来の収支や相続についてもシミュレーションを

賃貸経営は、20年、30年といった長きにわたる大事業です。その間には賃貸オーナーの定年退職で収入が減ることや、子世代への事業承継なども検討しなければなりません。

また、デッドクロスの時期にも注意が必要です。デッドクロスとは、融資を受けて賃貸経営をしている場合に、1年間の減価償却費と元金返済額の大小が逆転してしまう時期のことです。築後12年~13年でやってくることが多いデッドクロスの時期からは、経費計上できる減価償却費が少なく、経費計上できない元金返済額が多くなるため、経営面では苦しくなります。

そこで、デッドクロスを乗り切るための繰上げ返済やリスケジュールの計画を考えることが必要となるのです。

 

  • デッドクロスについて

借入金3億円(返済期間35年、金利3%、元利均等返済方式)

(内訳)建物2億円(耐用年数47年)、附属設備1億円(耐用年数15年)

 

・1年目の返済内容

利息8,932,690円、元金4,921,917円

・初期の減価償却費

 建物 4,400,000円、附属設備 6,700,000円 合計 11,100,000円

   元金返済額<減価償却費

 

・16年目の返済内容

利息6,139,838円、元金7,714,769円

・付属設備の減価償却終了後の減価償却費

 建物 4,400,000円、附属設備 0円 合計 4,400,000円

  元金返済額>減価償却費

 

(参考サイト)

ローンシミュレーション https://www.hownes.com/loan/sim/

減価償却 http://keisan.casio.jp/exec/system/1339479951

 

また、物件の相続、事業承継についても、毎年のように行われる税制改正に合わせたシミュレーションをし、配偶者や子どもと話し合って、遺言書を作成するなどの対策を打っておくのが良いでしょう。

 

相続・事業承継をスムーズに行うためのポイント

・事業計画の段階から、家族に相談しながら進めましょう。特に賃貸物件の入居者は、オーナーよりもオーナーのお子さん世代の人に年齢・感覚が近いこともあり、うまくお子さんの意見を取り入れて物件のプロデュースを行うのも一案です。

・更地をそのまま配偶者・お子さんに相続させるより、建物が建っているほうが節税につながることは多いです。しかし、「そもそも、相続税を支払う必要がない」という場合は、相続対策のためだけに土地活用をすべきとは言えません。

・賃貸物件の経営は「誰に」引き継いでもらうのかを明確にし、経営を引き継がないご遺族には、どのような形で遺産を配分するかを考え、遺言書を作成するなどしておきましょう。

ライター河野写真<筆名>
河野陽炎
 
<プロフィール>
3級FP技能士資格を持つライター、コラムニストとして、マネープラン、資産運用、生命保険、医療保険などの記事を数多く手掛ける。1人の生活者として「法改正や税制改正、景気の変動、次々と発売される金融・保険商品などが、私達の生活にどのような影響を与えるのか?」という観点からの執筆を心がけている。

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