建物を見極める【11のポイント】のうち、ポイント6~8を見ていきましょう。

[価格に関するポイント]

ポイント6.建物の総額と坪単価は?

建物の売買価格も、「総額」と「坪単価」(坪あたりの価格)の2つで判断します。

予算内の金額で取得できるかどうかを判断するときには「総額」を使い、他の物件との比較をするときには「坪単価」を利用します。

建物の場合の「坪単価」とは、売買価格の延床面積で割った金額です。

また、「総額」に関しては、実際には古い建物の資産価値が非常に低いことが多いため、土地の売買金額と含めて比較することもよくあります。

ポイント7.賃貸利回りによる比較は?

建物の価格を客観的に比較する方法として、外部テナントに相場で賃貸した場合の利回りを示す「賃貸利回り」を利用することもあります。

もちろん、実際にはほとんどのフロアを自社で利用するわけですが、仮に全フロアを賃貸したとして、その場合の建物全体での利回りを計算することで、物件を比較する際の1つの指標として使えるのです。計算式は次のとおりです。

●利回り=年間収入÷取得価格(新築する場合は建築費を含む)

※年間収入=延床面積✕レンタブル比(賃貸可能面積÷延床面積)✕エリア相場の坪単価

なお、賃貸利回りは何%以上が良い、などと一定の数字を挙げることはできません。各社でそれぞれに事情がありますし、相対的な数字ですから、あくまで1つの指標として利用してください。

[法令上の制限に関するポイント]

ポイント8.建築確認通知書・検査済証の有無は?

建物の売買では、各種の書類のなかに「建築確認通知書」および「検査済証」がきちんと含まれているかどうかも、確認する必要があります。

建築確認通知書や検査済証は、建築基準法によって義務付けられていることを証明する書類です。

この2つの書類がないと、金融機関からの融資が受けられない場合があります。その場合、キャッシュでの購入となりますし、将来売却しようとする際にも大きな足かせとなり、購入対象者が絞られ、更地にしなければ買い手がつかない可能性が高いでしょう。

建築確認通知書や検査済証なしでの売買は、可能な限り避けた方がよいわけですが、これらの事情を十分理解したうえで、それでも希望するなら不可能ではありません。しかし、原則、金融機関からの融資がつかないことを考慮して決断しましょう。

また、この場合、物件選択の最終段階で、専門家に登記簿謄本や竣工図と現況を比較してもらい、違法建築がないかどうか確認することも必要でしょう。

参考文献
自社ビル取得&運用マニュアル(すばる舎リンケージ)

株式会社ダク・エンタープライズ
株式会社首都圏ビルマネジメント
代表取締役 阿部龍治

 
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