建物を見極める【11のポイント】のうち、ポイント9~11を見ていきましょう。

[テナント運営・管理に関するポイント]

ポイント9.テナント運営・管理の状況把握は?

売りに出ている建物に賃貸用のスペースが含まれている場合、それぞれの賃貸スペースを過去いくらの賃料で貸していたのか、また、管理費や共益費、更新料などをどうしていたのかをしっかり把握しておくことで、購入後の不動産収入の予定数字を立てることができます。

ときにはテナントが入居したままの状態で物件が売買されることもあり、この場合には、テナントのなかに滞納や不適切な利用方法をしている不良テナントがないかどうかの確認も必要です。不良なテナントは退去はなかなか応じてくれないことがあり、トラブルにもなりやすいからです。

また、現在の契約賃料が相場より高い場合は、テナントの入れ替わりによって収入が減少する可能性もあります。

さらに、管理会社やビル所有者による清掃、水・電気・消防設備・エレベータなどの保守、機械警備、テナント管理などの頻度や金額などについても、売主や仲介会社からこと細かに説明を受けましょう。これらは、購入後に変更することも可能ですが、その際にも、以前どんな管理をしていたかという情報は重要な判断基準になります。

[権利に関するポイント]

ポイント10.登記簿謄本の建物の所有者変更履歴、および甲区ラン、乙区欄は?

「建物登記簿謄本」の「所有者にかかる権利(甲区)」欄には、仮登記、仮差押、仮処分、差押、買い戻し特約、予告登記なども記載されます。

同じく「所有権以外の権利(甲区)」欄には、抵当権、根抵当権、質権、先取特権、賃借権、各仮登記などが記載されます。

これらの表示がある場合、売主や仲介会社に詳しく説明を求めましょう。というより、こうした大事な事項に関しての説明が売り手側からなされなかったり、説明があやふやだったりする場合には、危険ですから即刻交渉を打ち切ってしまってもよいと思われます。

[契約書類に関するポイント]

ポイント11.建物関連の書類は揃っているか?

土地と同じく建物についても、権利書はもちろんのこと、竣工図(建築図面および設備図面)、構造計算書、前述の建築確認通知書や検査済証、入居しているテナントとの各種契約書類などが揃っていることを確認してください。一部が紛失している場合は、双方協議のうえ、可能なものは専門家を入れて作り直し、すべての協議がなされた段階で契約に進まなければなりません。

参考文献
自社ビル取得&運用マニュアル(すばる舎リンケージ)

株式会社ダク・エンタープライズ
株式会社首都圏ビルマネジメント
代表取締役 阿部龍治

 
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