自社ビルを取得することでのデメリットは、主に4つあります。

1.損金減少による税額増加

2.キャッシュフローの悪化

3.バランスシートの肥大化

4.移転が困難

これらのデメリットには、税務・会計的な側面が多いようです。

1.損金減少による税額増加

賃貸オフィスから自社ビルに移転した場合、従来支払ってきた事務所の賃料や共益費などは支払う必要がなくなります。

その代わりに、自社ビル取得の際に借り入れた借入金を返済していくことになります。会社の場合、「賃料」は全額損金として計上できますが、「借入金返済」は利息の支払い分は損金に計上できますが、元本返済については損金計上できません。

2.キャッシュフローの悪化

手許資金が拘束され、キャッシュフローが悪化する可能性が高まります。

一般的に、土地を購入するとき、建物を建築するとき、建物設備を改修するとき、大規模修繕のときなどに、まとまった資金が必要となります。

将来的な本業の見通しや景気動向を考慮のうえ、計画的な資金繰りや継続的な修繕積立などが重要となります。

3.バランスシートの肥大化

自社ビルを取得すると、資産と負債が大きく増えることで、バランスシートが肥大化します。資産全体に対する換金容易な流動資産の比率が下がり、経営分析上、資産が固定化しキャッシュフローが悪化したと判断されてしまう可能性があります。計画段階から、主要銀行の担当者とは相談して、アドバイスをもらいながら進めることが重要でしょう。自社ビル等の固定資産が、「自己資金(利益剰余金+資本金)+長期借入金」の範囲内に収まることが、財務上健全な自社ビル取得の目安と言われています。

4.移転が困難

賃貸オフィスを借りているときに比べて、自社ビルの取得後は、気軽な移転はしにくくなります。

主なリスクは、必要なオフィス面積の増減に対するリスク、設備のアンマッチに対するリスク、外的要因によるリスクが考えられます。

最後に、自社ビルを取得してから、経営が悪化したと言われないように、自社の事業にとって、そして今のタイミングが、

自社ビルを取得するメリットとデメリットを考慮して、費用対効果がどうなのか、慎重に判断することが重要でしょう。

参考文献

自社ビル取得&運用マニュアル(すばる舎リンケージ発行)

株式会社ダク・エンタープライズ
株式会社首都圏ビルマネジメント
代表取締役 阿部龍治

 
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