不動産の売買契約が無事に終了したと思っても、その後買主が売買代金を支払わない場合はどうなるのでしょうか?今回はこのような場合に売主側が採ることができる措置についてお話しします。

 

買主が支払期日を過ぎても売買代金を支払わない場合は、売主としては登記申請書類の準備を整えていつでも買主からの請求に応じることができる状態になっていることを通知したうえで、買主に売買代金の支払いを催告して、それでも売買代金の支払いがない場合は売買契約を解除することができます。解除をして他の買主を探すという方法もありますが、訴訟をして強制執行を行う場合の買主の財産の保全方法があります。買主の財産を保全するためには、裁判所に対して買主の財産につき仮差押命令の申立てをすることになります。仮差押命令は目的とする財産に応じて、不動産の仮差押え・債権及びその他の財産の仮差押え・動産の仮差押えなどがあります。この申立ては書面で行わなければならず、書面において「保全する権利の内容」と「保全の必要性」を記載しなければなりません。また、申立書を提出する以外にも担保金を納めなければなりません。「保全の必要性」の記載というのは債権者である売主が申立てをするタイミングで保全をしないと将来の強制執行をすることができなくなるか著しい困難を生ずるおそれがあるときにあたることを具体的に説明しなければならないのであります(民事保全法第20条1項「仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、または強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。」)。保全の必要性の判断は裁判官によって異なってくるので、裁判官がどのような判断をするかによって結論が変わることは十分にあり得ます。したがって、申立てを行う場合にどの弁護士に行ってもらうかも重要になってきます。

 
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