前回のコラムで、今後、日本が本格的なインフレ経済に転換するのであれば、「不動産投資は、インフレを利用して儲ける」を実践する良い機会であると述べました。

日本のインフレ経済への転換や日銀の金融緩和による後押しが、不動産投資の追い風になることが主因ですが、一方でキャピタルゲインに的を絞った投資が可能なエリアは、東京23区の半数程度の区や一部の中核都市に限定されると予想しています。

また、キャピタルゲインが狙える地域においても、ワンルームマンションは一定の利回りがなければ売れ行きが悪くなりがちなのに対し、実需のファミリータイプは、国内の富裕者層や海外投資家が利回りを度外視した購入を続けると予想されるため、不動産の投資手法も一考する局面にあると思います。

こうした考えの裏付けとなるのが、23区別のワンルームとファミリータイプのリセールバリュー(2004年4月~2007年3月に新規分譲され、2015年4月~2016/3に流通)の東京カンテイによるデータです。

これによると、ファミリータイプのリセールバリューの平均は107.8%(レンジ125.0%~92.9%)で、新規分譲時価格を上回る100%超が15区あり、うち千代田、港、品川、中央の4区が120%超、新宿、文京、墨田、江東、目黒、渋谷、豊島の7区で110%超となっています。

一方、ワンルームのリセールバリューの平均は85.1%(レンジ97.4%~65.7%)で、新規分譲時価格を上回る100%超は1区もありません。

無論、相対的に賃料単価(床面積当りの収益力)が高いワンルームのメリットを活かして、賃料とリセールバリューの高いエリアを選ぶ投資手法は奏功すると思いますが、キャピタルゲイン狙いの海外投資マネーのターゲットは、物件価格の高いファミリータイプであり、彼らは利回りを度外視た購入を続けると考えられます。

何故なら、2011年以降の大幅なドル高円安で、ドルベースでみた東京のマンション価格は、香港の4分の1、ニューヨークの3分の1程度に過ぎず、今後もインフレ経済への転換や日銀の金融緩和継続が円安ドル高要因となるため、海外投資家にとっては短期的にキャピタルゲインが狙えるからです。

しかも、多額の海外投資マネーが、東京23区の半数程度の区や一部の中核都市のエリアに限定して投資されるのであれば、周辺との価格差は開く一方となり、これらのエリアではこれまでの常識は通用しなくなるでしょう。

 
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