前回までは広大地の課税要件が明確化されるということまでをお話させていただきました。
日本の課税は租税法律主義により法律で定めた規定のなかで課税するものとされています。
要は、法律で定めなき事象での課税は出来ないものとされています。
この税法律主義の主たる目的は、法的安定性と予測可能性を守るためといわれています。
本来は課税されないと信じていたものが、いきなり課税されるものだとの課税者側の一方的な意向で課税されてしまうという事態を妨げるためのものです。
憲法では国民の納税の義務と平等であることを定めています。
課税の公平化を図るべき税制の改正は、度々、行われてきました。
そういった意味では、今回の広大地評価の改正は課税要件を明確にしていくということも相まって適正かつ妥当な措置であるものと感じます。
もっとも、改正の詳細の内容はまだ分からないので、何とも、いえない側面もありますが、考え方は妥当であるものと個人的には感じています。
そして、昨年の税制改正大綱の発表を受けて相続対策の一つとして、今年度中に広大地の適用を受けられそうな土地を相続時精算課税で生前贈与してしまおうというものが見受けられるようになってきました。
土地の評価額は贈与税も相続税も同じ計算式で行うものとされています。
今年度中により評価額を圧縮できる現行の広大地評価の計算方式により次世代に継承してしまおうというものです。
相続時精算課税は相続時に相続財産に含めて再計算して贈与時に収めた贈与税があるときは相続税から控除もしくは相続税額を超えるときは還付される仕組みとなっており、相続時に精算する評価額は贈与の時における価額によるものとされています。
おそらくは、駆け込みで広大地を相続時精算課税をつかった生前贈与で次世代に移管してしまおうといった動きが活発化されることでしょう。
ここで、気になるのは、今回の改正はおそらくは課税の公平を図ると言った、ただ、単なる増税を目的としたものではないと感じることです。