2020年05月19日
データで理解する 正しい不動産ビジネス

コロナ感染拡大で民泊にどんな影響がでたかデータを分析してみた(後)

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東京オリンピック延期決定前の予約状況について

 



もはや言うまでもありませんが、COVID-19は東京オリンピック開催に甚大な影響を及ぼしています。オリンピックが延期になる前の予約状況に注目し、もともとの開催予定日であった2020年7月24日(金)~8月9日(日)の予約状況をみていきましょう。


やはりオリンピック開催期間の7-8月においては、半年以上先にも関わらず、稼働率が劇的に高いことが確認できます。

しかし、2019年12月29日、2020年1月29日、2月29日、3月22日と時間が経つにつれて予約状況が落ちていることが確認できます。コロナ感染が拡大するに従って、利用者側のキャンセルやホスト側の受入中止があったことが考えられます。

感染拡大前の2019年12月29日と感染拡大後の2020年3月22日時点の稼働率を比較すると、約13~15%の下落を確認できます。オリンピック延期が決定した時点の情報はここには入っていませんが、大幅な需要下落が起きていることは想像に難くありません。



データ解釈から仮説構築へ


ここまでデータを眺めながら、解釈の一例を紹介してきました。「あれ、こんな程度で良いの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。もちろん、これだけで今後の方針がみえてくるわけではありませんが、このプロセスは決して省略することができない最初のステップです。「ファクトから思考せよ」と言及しているビジネス書がありますが、まさにファクトを整理し、判断の出発地点を持つステップであるといえます。

私達は無意識のうちに、見たいものを見たくなるといった傾向があり、時に大きなバイアスとなってしまうことがあります。たとえば、業界に長く携われる方であれば、長年培われた土地勘や同業種の関係者との情報交換から得た知見に富んでいるかと思います。当然、そうした知見がそのまま当てはまるケースもあるかもしれません。しかし、今回のコロナショックのように刻々と状況が変わる情勢においては当てはまらなくなってしまうことがありえます。また、情報交換から得られた情報においても既にバイアスがかかっており、事実とは異なる場合もありえるでしょう。ファクトとなりえるデータから客観的な解釈を得ることが、正しい判断と行動を導くために求められます。

もう1つ見落とされがちになる点として、データを確認する際においては信頼できるソースから公開されているデータであることや、可能な限り加工がされていない生データに近い状態のデータを扱うことも重要です。

こうしたプロセスを経て、得られた解釈があってはじめて、仮説を構築していきます。先述の宿泊予約を例にすると、感染者数が増加すると、稼働率が減少するという解釈が得られます。この逆相関の関係に注目し、たとえば、「宿泊予約件数によって宿泊予約数を説明することができそうだ」という仮説を得ることができます。

この例はいささかシンプルすぎますが、現実ではさまざまな変数が複雑に絡み合い、定量的に示すことが難しい場合や、社会経済現象では実際に扱うことができるデータにも限りがあることが少なくありません。仮説に基づいて限られたリソースのなかで、具体的に行動していくことが求められます。統計解析を経て、検証が出てきたところから、今後のインサイトにつながっていきます。

以上はデータから解釈・仮説を得るプロセスについて説明しました。実業で成果を上げてきた第一線のビジネスマンほど自身の経験や勘に自信を持ち、仮説ありきで判断・行動してしまうことが少なくありません。遠回りのようにみえるかもしれませんが、こうした土台がないことには組み立てた仮説や計画も根底から崩れ去ってしまいかねません。データサイエンティストといわれる職種は、まさに日々こうした生データと向き合いながら、解釈や仮説を紡ぎ出していきます。こうしたプロセスの先にAIサービス実装が行われています。

※本連載は月に一度、最新のテーマを取り上げます。次回は6月中旬に掲載予定です。


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