相続人からの出会いはいつも1本の電話。

相談内容は、財産は何もないはずだが念のため心配だから・・・と電話をしてきたA

さん。

Aさんお父親は、長年の闘病生活の末永眠されたとのことです。88歳。男としてはまさに長寿・天命を全うしたということになります。

翌日、事務所に現れたAさんは、46歳のサラリーマンの方です。家族は、奥さんと高校生の一人息子との3人家族です。高校をでてすぐに実家をでてそれ以後、父親とは不仲でほとんど連絡をしたことがなく、病院から連絡があって10数年ぶりに父親と再会されたとのこと。

再会から1週間ほどして父親は旅たったようです。

気になる財産は、父親から渡された預貯金1000万円だけでした。

Aさんは18歳で家をでて就職し、その後母親と離婚していた父親は駅裏の路地にある古い1軒家の店舗付き住宅を借りて一人でスナックを経営していたとのことです。

一人息子のAさんには他に相続人はいませんのでその金融資産である預貯金1000万円はそのままAさんへ相続されます。

不動産といえば家は大家さんから借りていたので父親の資産はそれだけですという。

そうなると相続税も相続における遺産分割もなにも関係なく預貯金の名義変更をすればすべて終わることになります。

ところが、話をきいているとどうも話が違うようです。

Aさんがいうところの大家さんとは借りえている家の大家さん?

どうもそうではないようです。

父親が大家さんと呼んでいたのでそう呼んでいたに過ぎないことがわかりました。

父親の遺品を整理していたら建物の固定資産税の納付書がでてきたのですが、それをAさんは気にもしていなかったようです。

とにかく大家さんは大家さんですから。

さらに預金通帳を見ると毎月の家賃の振込記録はないかわりにのです。

すぐに土地建物の謄本をとってみると案の定、予想どおりのことが斑目しました。

30年前に土地建物を大家さんから売買で買っていたのです。

驚いたのはAさん。

世間でいうところの相続税とはまったく無縁と思っていたわけですから。

(続き・・・)

 
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