皆様こんにちは。ファイナンシャルプランナーの近藤喜隆です。このコラムでは、FP試験について全8回にわたりわかりやすく説明をしていきます。FPの概要説明から入り、3級試験、2級試験と進んでいきます。近年、個人のお金に関する知識として益々注目を浴びるFP資格です。FP試験受験対策講師としての経験も踏まえ、ポイントをお話いたします。まず全8回のテーマをご紹介しましょう。

≪全8回テーマ≫

1.    FP(ファイナンシャルプランナー)とは

2.    FP試験の概要や合格率、難易度について
3.    FP3級(ファイナンシャルプランナー3級)試験日・申し込み方法や合格率などについて
4.    FP3級(ファイナンシャルプランナー3級)技能検定の過去問のご紹介・独学の場合の勉強時間などについて
5.    FP3級実技試験(ファイナンシャルプランナー3級実技試験)について
6.    FP2級(ファイナンシャルプランナー3級)試験日・申し込み方法や合格率などについて
7.    FP2級(ファイナンシャルプランナー3級)技能検定の過去問のご紹介・独学の場合の勉強時間などについて
8.    FP2級実技試験(ファイナンシャルプランナー3級実技試験)について

以上のテーマで進めていきます。仕事にも皆様自身の生活にも役に立つFP=ファイナンシャルプランナー資格をどなたにもわかりやすく説明していきます。どうぞお楽しみに。

ファイナンシャルプランナーの資格には、国家資格のFP技能士と民間資格のAFP、CFPとがあります。FP技能士は、1・2・3級と3段階ありますが、いずれも技能検定試験を受験し合格することによって取得できる国家資格です。試験には学科試験、実技試験の2種類があり、両方合格することが必要です。一方の民間資格ですが、AFPについてはFP技能検定2級試験を合格したあと(※)日本FP協会に会員登録をすることによって取得します。さらに上級資格のCFPは、AFP登録者限定で受験できる(※)もので、6科目合格後、各種手続きを経て登録することができます。CFPは国家資格のFP技能士1級に相当します。

(※)他の受験資格もありますが、詳しくは次回以降で後述します。
            

さて第一回は、まずFP=ファイナンシャルプランナーとはなにかについて説明していきます。これを和訳すると、ファイナンシャル=金融の/お金に関する、プランナー=計画・立案(提案)する人→お客から相談を受ける人、と言えます。金融については、幅広いのですが、FP業務の対象は、個人(世帯)となります。よってFPを日本語に置き換えると「個人のお金の関する相談員」と言えます。相談員という名称は、日本FP協会における正式用語としても使われています。FPの範囲は幅広く、個人のお金に関することはおおよそすべて網羅しています。生活改善に役立てることはもちろんのこと、仕事として活用することも十分可能です。特に独立系FPは、個人がお金のことに関して悩んだりした場合に、真っ先に駆け込む総合相談窓口の役割を果たしてくれます。

FP=それはかかりつけのお医者さんをイメージするとわかりやすいです。皆さんも風邪などにかかったら、まず近所の内科などにいくのではないでしょうか。FPはまさにそのイメージです。「かかりつけのお医者さん」なのです。そのため日本FP協会では、FP=「家計のホームドクターⓇ」と呼んでいます。

本当のお医者さんがそうであるように、その医院で対応できない重篤な場合や、専門外の場合は、他の医院や大病院を紹介します。FPもそれと同じで、専門外の場合や、FP単独でできない業務の場合は、他の専門士業を紹介するなどして、連携していくのです。ここでの専門士業とは、税理士や弁護士、司法書士、社労士等を指します。これらの資格を持っていないと、やってはいけない独占業務というものがあります。例えば、税理士資格をもっていないと顧客の個別具体的な税務相談にのることや、確定申告の代行をすることはできません。他の士業にも同様の規定があります。これらの点はFP技能検定試験にもよく出題される論点ですので、学習の際はしっかり固めておきましょう。
また各士業の業務は、いずれもFPの分野と深くかかわっています。FP6分野と呼んでいます。では次にこの6分野について概要を説明していきましょう。

FP6分野

ライフプランニングと資金計画

FP=ファイナンシャルプランニングの根幹をなす中心的な分野です。お客様の生涯生活設計の相談にのるのがFPの仕事。それを具現化するためのツールがここにはあります。ライフイベント表をベースとしたキャッシュフロー表がその代表です。

キャッシュフロー表とは、世帯の今後の予定や希望が記されたライフイベント表に、収支の金額を付けて将来の貯蓄残高を予想したものです。残高がもしマイナスとなったら家計破綻を意味していますから、FPが改善策をアドバイスするのです。

またこの分野では、社会保険公的年金も扱います。社会保険は健康保険をはじめ介護保険、雇用保険、労災保険など、私たちの生活を根底から支えてくれる重要なものです。公的年金も老後生活に欠かせませんね。社労士業務との関係も深いのも特徴です。

リスクと保険

これは民間会社が扱う商品の概要を学習する分野で、生命保険損害保険を扱います。公的な遺族年金でもある程度対応可能ですが、それで足りない部分を民間の生命保険で補完していくイメージです。また自動車事故や家屋の火災に備えて損害保険も必要です。税制も含めしっかり見ていきます。生保営業等、保険業界の方にとっては、仕事で使う場合にも欠かせないベースとなる知識です。

金融資産運用

以前はFPといって多くの方が一番イメージする分野でした。株式や債券投資信託といった金融商品の基礎を学んでいきます。ニュースや新聞を読むうえでも役立つ経済金融指標も扱います。証券会社の営業マンが仕事に必要な資格として持つ証券外務員にも通ずる内容です。ぜひ楽しく学んで自身の投資活動にも役立ててください。

タックスプランニング

ずばり税金です。私たちがこの国に暮らす以上、切っても切れないものです。個人のもうけにかける所得税をはじめ、2級以降の技能検定では、法人税や消費税も学んでいきます。仕事では税理士業務のベースとなるものですが、皆さん自身の給料の源泉徴収票が分かるようになったり、確定申告書の流れが体系的に理解できるようにもなります。その他、医療費控除や住宅ローン控除など、税金の知識を知ると得することが満載です。

不動産運用設計

土地と建物に関し、様々な角度から切り込んでいく分野です。売買賃貸取引建築基準法をはじめとする法令、また税金などの論点です。普段あまり意識しませんが、住みよい街に暮らすためのベースとなります。特にマイホームを買いたい方には、役に立つ知識が盛りだくさんです。また昨今はやりの不動産投資の基礎知識にもなります。

相続・事業承継

誰もが一生のうちに何度か遭遇する相続です。民法における相続分や相続税の計算体系について学びます。遺言や、生前贈与など残された遺族がもめないための対策も盛りだくさんです。生前にも大変役に立つ贈与税の各種特例(住宅資金、教育資金、結婚子育て資金)も扱います。ぜひこれらの知識を役に立てスムーズな相続に役立ててください。

以上がFPで学ぶ6分野の概要です。いかがでしたでしょうか。専門家にゆだねることもあるとはいえ、個人のお金に関する知識はおおよそすべて網羅できるのです。今後ますます活躍が期待される資格、それがFP=ファイナンシャルプランナーなのです。

ここで改めて資格の説明に戻ります。国家資格のFP技能士1、2、3級と、民間資格のAFP,CFPの二つに分かれていることは前述しましたが、この技能検定を実施する受験団体も実は2つあります。日本FP協会と金融財政事情研究会で、略して「協会」、「金財」と呼んでいます。いずれの団体で受験しても国家資格であるFP技能士を取ることはできます。AFPの登録には、2級技能検定合格後に日本FP協会に入会手続きが必要となります。
この辺りは次回以降で詳しく説明していきます。

以上、まずはFP=ファイナンシャルプランナーの概要について述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。次回は、FP試験についてもう少し詳しく説明していきます。
どうぞお楽しみに!

【シリーズ一覧】

第5回:FP3級技能検定試験:過去問解説・学習法

第6回:FP2級の試験日・申し込み方法や合格率など

第7回:FP2級技能検定試験:過去問紹介と学習方法

第8回:FP2級技能検定試験:実技試験と学習方法


【執筆協力】

近藤喜隆

■所属

近藤FP事務所 代表 (有)徳友舎 代表取締役

■保有資格

・CFP

・1級FP技能士

・宅建取引士、

・相続アドバイザー協議会(R)上級アドバイザー

■所属・加入団体・等 

2009年 資格の学校TAC FP講座講師

2016年 一般社団法人「理想の住まいと資金計画支援機構」千葉支部長

2017年 日本FP協会「2017年度くらしとお金の相談室」相談員

 
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