2016年12月27日
藤野 慶和(ふじの行政書士事務所代表)

東京都内の古マンションは、「特定緊急輸送道路」がカギ!

藤野 慶和(ふじの行政書士事務所代表)

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マンション選びのポイントは耐震基準

 マンションを買いたいという人にアドバイスするときに、あえて「中古」をすすめています。
なぜ中古がよいかというと、ある程度の時の経過を経てそこに所在しているので、
時間の経過という耐久テストが行われているからです。
 例えば、東日本大震災を耐えたマンションは、施工やデータの改ざんがどうであれ、実際の地震に耐えたという結果が出でいるからです。

 多くの人が気にする耐震基準ですがは過去に2度ほど大幅に改正がありました。
 しかし、実物の建物で実験するわけではありませんから、はっきり言って、実際のところは、どの程度の強度があるのかは、わかりません。
新耐震であれば、建築確認の際に、理論上の耐震性はクリアしているため、問題はないように思えますが、それ以前の建物については、「耐震診断」を行わないと、真偽のほどは不明なのです。

 古い建物は、ただ何となくですが、見た目の雰囲気で、ある程度予想はつきます。

ヒビだらけのビルはお世辞にも強度が強いとは言い難く、特に構造上の亀裂が出にくいところ(構造上、開口部の四隅などは割れることがよくあります)ヒビが入っているような建物は、施工時にコンクリートの攪拌不足に依るジャンカなど、コンクリートの施工上の問題も懸念されます。

耐震基準の変遷

●1971(耐震基準強化)
   
↑旧耐震(震度5で倒壊しない)
●1981(昭和56年)(新耐震基準)          
↓新耐震(震度6強~7で倒壊しない)
  
●2000(耐震基準強化)
   
●2005(耐震偽装事件)
   
●2011(東日本大震災)

昭和56年(1981年)6月 新耐震基準

 新耐震基準(築30年強)
有名な耐震基準の大改正です。宮城県沖地震により強化され、建築基準法が改正されました。震度5強でも建物が損傷しない、震度6強でも倒壊しないというような基準となっています。補助金や減税などもこの基準に適合していることが要件となっています。

 2000年更に耐震強化・・・新・新耐震基準と耐震偽装事件
 曲げ、せん断力に対しても、基準が強化されました。この新・身耐震に向けて、マンション建設コストが上昇するのを、手抜き工事でコストカットしようとして構造計算を偽装したのが、かの有名な耐震偽装事件です。構造計算上ギリギリのところまで、鉄筋を抜いてましたね。
木造の基準も強化され、筋交いを入れるようになりましたが、基準改正に伴い、耐震リフォーム詐欺も横行しました。

 東日本大震災(M9.0 東京で震度5強)
 
 M9.0という未曽有の大地震が東日本を襲い、東北地方は津波で大打撃を受けました。東京でも震度5強という新耐震基準レベルの揺れ(さらに超長期振動を伴いました)を体験しました。皮肉なことに耐震偽装マンションも揺れに耐えていますので、当時、首謀者とされた建築士が「構造上問題ない」と言っていましたが、震災で立証された形になりました。
昭和40年代の旧耐震のビルも、都内のビルは揺れながら耐えました。

 そこで、私が、オススメというか、中古マンション選びをするときに重要な指標と思われるのは、東京都が指定している「特定緊急輸送道路」などの幹線道路の存在です。


特定緊急輸送道路

 東京であれば、主要な幹線道路通り沿いを都が「特定緊急輸送道路」に指定しています。
特定緊急輸送道路とは、地震直後から発生する緊急輸送を円滑に行うため、高速自動車国道、一般国道及びこれらを連絡する幹線道路と知事が指定する防災拠点を相互に連絡する道路をいい、第1次~第3次まで設定されています。
  • 第1次:応急対策の中枢を担う都本庁舎、立川地域防災センター、重要港湾、空港等を連絡する路線
  • 第2次:一次路線と区市町村役場、主要な防災拠点(警察、消防、医療等の初動対応機関)を連絡する路線
  • 第3次:その他の防災拠点(広域輸送拠点、備蓄倉庫等)を連絡する路線

これらの道路沿いの古い建物は、都の条例で耐震診断が義務付けられていますし、耐震補強工事を行っている建物もあります。
条例第7条第1項に規定する特定緊急輸送道路(概要)


  • ⇒つまりは、救急車や消防車などが通行するために、道路付近の建物の倒壊について対策すべき主要な道路のことです。
  • 大都市、東京都の都心部は、このように、アリのはい出る隙間もないほど、建物が密集しており、また、ビルの高さも相当なものであるため、大きな幹線道路に地震で倒壊したビルが倒れこみ、幹線道路の交通が遮断されると、災害救助活動や消火活動ができなくなってしまいます。
  • ですから、少なくとも幹線道路沿いの建物の耐震性を強化する必要があるのです。


  • 耐震化の状況の報告義務と耐震診断が義務化される建築物の条件このような災害時の緊急用の道路を特定緊急輸送道路といい、緊急車両や、物資を運ぶため、道路に建物が倒壊して緊急車両の通行が妨げられるのを防止するよう、周りの建物の耐震強化が促進されているのです。
    ラッキーな場合は、耐震補強(開口部などを鉄骨で補強している建物を見たことがありませんか?)工事を施工している場合も多いです。
    少なくとも耐震診断は受けているはずです。
     古い物件を購入される方は、耐震性を懸念されるケースが多いと思いますが、特に30年以上前の物件を購入する場合については、予備知識として耐震基準の変遷が、とても重要だと思います。
     住宅ローン減税や補助金、金融機関の建物の評価額や保険についても、耐震基準は関係してきますので、少なくとも「昭和56年新耐震基準」というキーワードだけは、覚えておいてほしいと思います。


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