インターネット広告大手、フルスピード(東証二部2159:東京・渋谷区)をご存知の方も多いのではないだろうか。

2001年、京都で設立した同社は、成功報酬型のSEOサービスやリスティングをはじめとした運用型広告などを発端に、独自のアドテクノロジー商材(アフィリエイトサービス、DSP等)を開発提供するなど、今やインターネットマーケティングの最先端を牽引する存在だ。

2007年には東証マザーズに上場。

それから3年後の2010年には、ネットワークインフラサービスや情報通信ソリューションサービスを主に提供するフリービット(東証一部3843:東京・渋谷区)と資本業務提携契約を締結し、巨大資本の傘下に入った。

フリービットの連結子会社には、集合住宅向けISPサービスやネットワークサービスを手がけるギガプライズなどもあり、不動産業界にとっても無関係な組織ではない。

フルスピードが取り扱う領域は多岐に渡る。

同社が掲げる「テクノロジー&マーケティング カンパニー」というスローガンのとおり、ソーシャルメディアコンサルティングや、運用型広告、ウェブコンサルティング、ウェブサイト開発など、インターネットに関わるありとあらゆる分野のプロフェッショナルだ。2018年には上場市場を東証二部に変更し、更なる躍進が期待されている。

今回は、そんなフルスピードが2017年10月に、光通信(東証一部9435:東京・豊島区)と合弁で設立したフルスピードリンクにフォーカスする。

フルスピードリンクの代表・共田邦人氏は1990年生まれ。20代の好青年だ。

同社の事業内容や、共田氏が社長に就任した経緯を紹介するとともに、2019年7月にオープンしたクーポンメディア「Ucamo(ウカモ)」を取り上げよう。

最強の営業集団と、最先端ウェブテクノロジーの融合

先述したとおり、フルスピードリンクは、フルスピードと光通信の合弁会社だ。

設立のきっかけは、光通信が抱えていた「ある課題」だった。

光通信は、グループ会社が多い企業として有名だ。

2019年3月期の有価証券報告書によると、連結子会社175社・持分法適用関連会社137社と発表されている。ちなみに、不動産大手の三菱地所は連結子会社221社・持分法適用関連会社110社(2019年3月期有価証券報告書より)だった。合計の社数では光通信が上回っている。

このグループ各社が、会社ごとに別のウェブ制作会社や代理店会社に仕事を発注し、一元管理できないことで大きなロスが生じていたのだ。グループ全体では多くのウェブ関連の発注があるにもかかわらず、スケールメリット(規模の拡大に比例して生まれる生産性・効率の向上)が出せていなかった。

「ウェブの発注を一元管理し、ノウハウを溜めて共有したい」そういった悩みに対して声がかかったのが、インターネット全般を取り扱うフルスピードだった。

フルスピードも、ウェブマーケティング事業においては、双方の強みに活かした、外部企業との積極的な協業や、新たなビジネスを模索しており、本取組みには積極的だったようだ。光通信は高い営業力や独自の販売網を持ち、取り扱う商品やサービスもフルスピードとは全く異なる。両社が繋がることは大きなシナジーが生まれることは明白だった。

こうして、フルスピードリンクは設立に至る。

つまり、フルスピードリンクは最強の営業集団と、最先端ウェブテクノロジーが融合した企業といえるだろう。

フルスピードリンクのメイン事業は、光通信グループのウェブコンサルやネット広告全般だ。また、光通信が取り扱う様々な商材を、ウェブを販路として販売するなど、重要な役割を担っている。

新卒5年目で社長!共田社長インタビュー

フルスピードリンクのもう1つの特徴、それは同社・共田邦人社長が、2017年当時わずか新卒5年目で社長に就任したことだろう。どういった経緯だったのだろうか。直接話を聞いた。

―共田社長の経歴を教えてください。


私は愛知県出身で、静岡の大学を卒業し、2013年に新卒でフルスピードに入社しました。

―入社した頃はどういった業務に就いていたのでしょうか。

1年目2年目は、新規の営業を行っていました。

業界関係なく、インターネット広告の提案営業です。

―入社当初から、さぞ優秀な成績だったのでしょう。

とんでもありません。

特に1年目は、新卒同期のなかでも1番受注が遅かったぐらいでしたから。

―そうだったのですか。

転機は2年目でした。

なぜか、ベテラン・エース勢しかいない部署に移動しました。新卒社員は私1人だけです。


そこで鍛えられましたね。

大きなクライアントを持つ先輩との同行や、案件の引き継ぎなど、とても忙しかったです。


そこから、3年目は既存顧客のコンサルティングをメインで担当し、4年目にはヘルスケア業界に特化した部署でグループ長になり、マネジメントも行っていました。

―そして、5年目ですね。共田社長が27歳のとき、フルスピードリンクが設立します。

光通信社との合弁会社を設立するにあたって、代表候補を募集する社内公募があり、選ばれたというのが経緯ですね。

―社内公募があったのですか。それは全社員対象ですか。

はい、30歳以下という年齢制限がありましたが、基本全社員対象でした。

―公募に参加した理由はあったのでしょうか。

元々独立したいと思っていて、ちょうどその時期に進退を考えていました。


おかげさまで3年目ぐらいから、営業成績が順調で、グループ長になった後もグループ単位で予算目標を達成するなど、ある程度の実績がありました。


「フルスピードで学べることは、ある程度教えてもらえたかな。その恩返しもできたかな」と思っており、一区切りを考えていたタイミングでした。そこで、社長の公募があったのです。

―選考では、経営陣との面談もあると思います。どういったことを聞かれたのでしょうか。

どういうことをやっていきたいか。あとは自分のアピールポイントを伝えましたね。

あまり覚えていないですが、大したことは言っていないと思います(笑)。

―5年目で、グループ会社の社長。同期社員や周辺からは羨望の的だったのではないですか。

確かに、社長という役職は凄いかもしれません。しかし、社長といっても千差万別ですし、いろいろな社長のかたちがあると思っています。そう考えると、大して何かが変わったといったことはありません。

―周囲からやっかまれたり…

それもありませんでしたね。

―フルスピードリンク設立当初はどういった事業だったのでしょうか。

光通信グループのインターネット広告代理店事業のほかに、光通信の商材・サービスを販売代理するミッションがありました。


例えば光通信が提供する電力インフラや水、携帯電話・SIMカードなどの商品を、ウェブを販路にして売る事業です。

―問題なく事業はスタートしたのでしょうか。

いいえ。事業立ち上げがなかなか前に進まず本当に苦労しました。

最初の半年は業績的にも厳しく、一番大変でしたね。

―事業が上向いたきっかけは何だったのでしょうか。

大きく2つあると思っています。

1つ目は、ウェブだけで完結する商材だけに絞って販売し、そのPDCAを早く回したことです。


2つ目は、クレジットカードを商材とした事業をはじめるにあたって、フルスピードが過去にwebプロモーションをお手伝いしたことのある業界だったので、その時のノウハウや条件を商品設計に盛り込んだところ、大きく売上実績が伸びたたことですね。


まだまだ事業が完全に安定しているとは言えませんが、かつての胃を痛めるような日々からは解放されました。

―フルスピードリンクは、2年目の会社です。現在は光通信グループの足りない部分、ネット全般を補うといった存在ですが、今後のビジョンはあるのでしょうか。

せっかく、フルスピードと光通信が組んだのだから、両社の強みを活かした新規事業を展開したいと考えています。


フルスピードという技術力やサービスを作り上げる存在と、光通信という営業力と販売網がある。その架け橋となるのが、フルスピードリンクです。今、社内で新規事業のアイデア出しを始めています。


私も、経営者としていろんな記事やニュースを見ていますが、事業を作って満足するのではなくて、マネタイズや販売網などの戦略を考えていきたいながら事業を作りたいと思っています。

クーポンメディア「Ucamo」がオープン!

不動産業界も集客に活用可能!



2019年7月、フルスピードリンクはクーポンメディア「Ucamo(ウカモ)」をオープンした。

「Ucamo」は、会員登録なしで利用できるクーポンメディアだ。

「旅行」や「グルメ」、「習い事」や「フィットネス」、そして「不動産・投資」といった商品やサービスのクーポンを利用できる。

クーポンを掲載している企業は、集客施策のひとつとして活用している。

クーポン掲載にかかる月額や初期費用はなし。「Ucamo」経由でユーザーが問い合わせした際に費用が発生する成果報酬型だ。(※費用は要相談)

アクセスするユーザーは、30歳以上の女性や60~70代の男性が多く、不動産会社のクーポンとも相性が良さそうだ。2020年3月までに、80~100万ユーザーの流入を目標としている。

共田社長は「不動産業界にも親和性があると思っています。ユーザーを囲い込みたいという企業には有効でしょう。例えば、『Ucamo』から申し込んで来店すればクオカードを進呈するといったクーポンは、効果的だと思います。」と語る。

ネットを使った集客を強化するのであれば、「Ucamo」を検討してはどうだろうか。

 
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