先日、不動産に関係するお仕事をされている専門家数名が集まった際に「自殺とか他殺とかがあった、いわゆるワケ有り物件(事故物件)にも相続税は課税されるのか?」という話が出ました。ちょっとドッキリするテーマですが、今回はこのテーマを取り上げたいと思います。

 過去に自殺や他殺、火災があった物件や周辺に指定暴力団の事務所等がある物件のことを心理的瑕疵あり物件と呼び、不動産取引の現場では取引の相手方に対して告知する義務が生じます。孤独死が心理的瑕疵にあたるかどうかは、発見までの時間経過にも影響を受けるようです。このような物件は不動産取引においても敬遠されることが多いことから、資産価値も低下しやすいといえます。

 他方、相続税における財産評価のやり方は、財産評価基本通達の定めに従って評価することが原則となっており、土地については国税庁が毎年7月1日に公表する路線価に基づいて評価することになります。では、路線価評価において、心理的瑕疵あり物件はどのような扱いになるのでしょうか。

 国税庁課税部審理室・資産課税課・資産評価企画官が作成した「資産税関係質疑応答事例集」によると、騒音、日照阻害、臭気、忌み等により、その取引金額に影響を受けると認められるもの著しく低下していると認められる宅地については、相続税の路線価評価から10%程度の評価減して差し支えないとの解説がなされています。このことから、心理的瑕疵あり物件にも相続税は課税されるものの、一定の評価減が認められると考えることができます。

 但し、上記事例集には「路線価が、利用価値の著しく低下している状況を考慮して付されている場合には、しんしゃくしない。」とも記されており、最初からその影響が路線価に織り込まれている場合には考慮しないとされています。

 実務的には、心理的瑕疵による評価減を誰が認めるのかといえば、それは「税務署」に他ならないので、税務署との個別相談の事例と言えると思います。取引金額への影響度を示す視点からは、不動産鑑定士の鑑定評価を示すという方法も考えられるでしょう。

<不動産・相続・事業承継に関するご相談は、花光慶尚税理士事務所まで!>
事務所HP http://flowerlight-tax.com/

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ