橋本秋人「使える空き家ビジネスのススメ」



社会問題化する「空き家問題」は不動産業界のビジネスチャンスでもあります。


そこで、空き家に関する講演やセミナーで活躍する橋本秋人さんに、空き家を取り巻くビジネスの羅針盤になるような知識を紹介していただきます。読めば空き家問題、恐れるに足らずと思える連載です。(リビンマガジンBiz編集部)

今回は、空き家の売却の2回目です。

テーマは「いくらで売るか?」

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(画像=写真AC)

当然のことですが、お客様は所有する不動産をいつでも高く売りたがります。最近は、地価が上昇しているというニュースが目につくのでしょう。「所有している空き家や土地も高く売れるのでは」という期待がお客様の言葉の端々にも見て取れます。

それでは実際に空き家は高く売れるのでしょうか?

まずは足元の地価動向を見てみましょう。

3月26日、国土交通省から平成30年の地価公示が発表されました。

それによると、次のような結果となっています。

・全国平均のなかでは、住宅地平均が10年ぶりに上昇した。商業地と全用途平均は3年連続で上昇した。用途別の変動率は、住宅地0.3%、商業地1.9%、工業地0.8%の上昇だった。

・三大都市圏(東京、大阪、名古屋)では住宅地、商業地とも上昇した。

・地方圏は商業地平均が26年ぶりに上昇した。全用途平均でも26年ぶりに横ばいになった。住宅地平均は下落幅の縮小が継続した。

今回の大きな特徴は、リーマンショック以来下落を続けていた住宅地が全国平均で久しぶりに上昇したことと、商業地が地方でも値上りに転じたことでしょう。

同省は、この背景として、

・全国的に雇用・所得環境が改善する中で、利便性の高い地域を中心に地価が回復していること

・外国人観光客による店舗・ホテル需要の高まり等を背景に、商業地の地価が総じて堅調に推移

と分析しています。

確かに、東京や大阪の繁華街を歩いていても、至るところでホテルや商業ビルの工事が目につきます。

また、大阪に出張する際にも、ビジネスホテルの宿泊料金は5年ほど前と比較すると2~3倍になっているという実感があります。

やはり最近の地価上昇は、ホテルや商業ビル、オフィスビル、都心のマンション需要の増加によるところが大きいと考えられます。

しかし、不動産会社などで実際に売買の仕事に携わっているであろう読者の皆様にお伺いしたいことがあります。皆さまの実感はいかがでしょうか。

私も相続した土地や空き家の処分についての相談を数多く受けていますが、その中でも多いのは、相談者は首都圏に居住しているが実家が地方にあるケースです。地方の、特に住宅地の場合は、地価の下落が下げ止まった、あるいは上昇に転じた、などという実感はまずないのではないでしょうか。

前述の公示価格の動向を見ても「地方圏の住宅地は下落幅が縮小」とあります。

つまり、下落幅が縮小しただけで、下落自体は続いているということです。

>>続き:一見好調な公示地価。でも実は…

 
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