橋本秋人「使える空き家ビジネスのススメ」

社会問題化する「空き家問題」は不動産業界のビジネスチャンスでもあります。


そこで、空き家に関する講演やセミナーで活躍する橋本秋人さんに、空き家を取り巻くビジネスの羅針盤になるような知識を紹介していただきます。読めば空き家問題、恐れるに足らずと思える連載です。(リビンマガジンBiz編集部)

(画像=写真AC)

「空き家の売却」編の最後になります。

いざ空き家を売却しようとすると、思わぬ落とし穴にはまることがあります。せっかく立地も良く、買主も付きそうな空き家なのに、問題があるために売却ができない。実際の売買の現場でよくある話題ですね。

まず、売れない空き家の要因としてはどのようなケースがあるのでしょうか。

大きく分けると、「法的な問題がある」ケースと「法的な問題はないが障害がある」ケースがあります。

まず、「法的な問題がある」とは、空き家が違法な状態にあることで、その状態のままでは売却自体できなかったり、著しく低い金額でしか売却ができなかったりすることになります。

例として以下のケースがあげられます。

①接道義務違反

建物を建築できる敷地は、幅4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接していなければならず、この要件を満たしていない空き家は建替えができません。

具体的には以下のようなケースです。

・道路に接していない(袋地や無道路地といいます)

・道路に接している部分が2m未満である

・接している道路が建築基準法上の道路ではない

これらのケースは、特に古い住宅地などでよく見かけられます。

このような土地の場合、2m以上の接道を確保するために、土地の購入、借地、交換などをして解決するしかありません。

また、敷地が接している道路が建築基準法上の道路ではない場合は、近隣を巻き込み管轄する役所とも相談しながら解決を図ることになります。いずれも解決が困難なことが少なくありません。

②建ぺい率、容積率オーバー

特に第一種・第二種低層住居専用地域のように建ぺい率・容積率の制限が厳しい地域では、床面積が抑えられ、希望する広さの住宅が建築できないことがよくあります。そのため昭和50年代までは違法建築が横行していました。また新築時は合法だった住宅でも、無許可で増築したために建ぺい率や容積率をオーバーし違法な状態になってしまったケースもあります。

このような建物の売買においては、買主はほとんど住宅ローンを借りることができません。現金で購入できる買主がいれば別ですが、好き好んで違法な建物を購入する人は限られます。そのため、どうしても売りづらく、また売却金額も低く抑えられることになります。

③未登記の物件

新築しても登記していない、あるいは増築した部分を登記していないというケースもよくあります。

このようなケースでも買主は銀行ローンを借りられません。解決方法としては売主が登記をすれば良いわけですが、建築確認申請が必要な増築であるのに必要な申請をせずに増築してしまった場合は登記自体が難しくなります。

やはり違法建築は、違法な状態を解消しないと、売却は難しいと考えたほうがよいでしょう。

>>2ページ目:「法的な問題はないが障害がある」空き家売却のトラブルとは?<続き>

 
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