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宮大工による本格的日本建築の活用『お花茶屋 森谷邸』

お花茶屋 森谷邸・外観(福島様提供)

空き家の問題は地方に限りません。東京においても空き家率は11.1%と約9件に1件が空き家になっています(総務省平成25年住宅・土地統計調査)。東京都では賃貸住宅の空き家の割合が高くなっていますが、今後「その他の空き家」も確実に増加すると予測されています。

上野駅から京成本線で約20分にある、お花茶屋駅。この駅から徒歩約10分の住宅地でひときわ目立つ豪邸は、地元の名家が昭和55年に建築したものです。宮大工が手掛けた書院造の立派な建物で、広大な敷地に母屋と離れ、別館、納屋の3棟の建物があります。

前オーナーが亡くなって以来空き家になっていたこの建物群を、新たに再生・活用しているのが合同会社お花茶屋Labo(以下、お花茶屋Labo)です。

共同代表の福島美邦子さんたちは、「アートに寄せていく」をコンセプトに、まず母屋をレンタル・スペース『お花茶屋 森谷邸』としてオープン。現在までドラマやCMの撮影、コスプレ撮影の他、ワークショップ、研修などさまざまな用途で利用されています。

またオープンに先立ち開催されたオープニングフェスでは、地元から団体や個人が数多く出展し、来場者も300名を超えるたいへん賑やかなイベントとなりました。その後も「お花茶屋マルシェ」として第2回が開催されています。

お花茶屋 森谷邸内観(福島様提供)

他の建物も、それぞれリノベーションによりアートレジデンス(賃貸住宅)、アトリエ、シェアアトリエとしての活用計画が順次進めており、母屋も更に新しい事業展開を目指しています。

この事業のスキームはお花茶屋Laboがオーナーから5年の「定期借家契約」で建物を借受け、さまざまな事業を行い、事業収益を得るというものです。そのため、コンセプトを活かしながら常に新しい事業を展開することにより収益を増大させることも可能となります。

今後は行政との連携も模索しながら更なる事業展開を図っています。

空き家の非住宅としての活用は、賃貸住宅などの住宅としての活用と比較すると難易度も高くなります。

しかしマッチングが上手く進めば、事業として魅力的なものになります。

上記で紹介した事例のように、立地や建物の条件の他に、事業推進者の調査・企画力や熱い想いも重要な要素になります。さらに地域の有力者や行政との連携、情報発信による地域を中心とした外部への浸透なども成功のポイントとなります。

空家の非住宅としての活用は、今後有望な手法として期待して良いでしょう。

 
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