昔からよく「隣の土地は3倍出しても買え」と言われてきました。
実際の売買では相場より高い時もあれば相場並みや相場より安い時もありますが…。

売買金額はともかく、そもそも隣の土地は本当に買う必要があるのでしょうか?

実は隣地売買は意外に多い話です。私も時々お手伝いしてきましたが、
お隣の土地は買いたい、買わなければと思い込んでいる人も多いようです。

でも話を聞いてみると、
「昔から隣の土地は買うべきと言うじゃない。」
「将来何かの役に立つと思うから。」
「自分が買わないと他の人に買われてしまうし。」
「自宅の土地が広くなると嬉しい」‥
と理由もあいまいで、本当に必要なのかな?と思ってしまうことも少なくありません。

なので、反対に売り手側もお隣さんに話をすると高く売れるのではと思ってしまうのです。
私は隣地の購入を相談された時には「気持ちや想い」よりも
買うことによる「実質的なメリット」が本当にあるかどうかで決めましょうとアドバイスしています。

でも中には、本当に高くても買ったほうが良い場合もあります。
そのひとつは、建築不可だった土地が建築可能になるケースです。
一度、相談者(売主)の土地の一部をお隣が相場の4倍の金額で買ったことがありました。
具体的には、相場が坪80万円の土地を坪320万円!
なぜそんなに高い金額で…?

実はお隣はいわゆる「旗ざお地」で道路から通路を通って奥の家に入るのですが、
通路の幅が2mに足りず建築許可が取れないために、

大正時代初期に建築した築100年以上の家の建替えができずに困っていたのです。

建築基準法では、敷地が4m以上の道路に2m以上接していなければ家を建築することができないので、

通路の幅も2m以上必要です。
当然大正時代にはそのような基準はなかったので建築できたのですが、

今の法律では建替えができなくなってしまったのです。

そこで、相談者が建替えのために建物を解体した時に、

通路の幅が2m以上になるように土地の一部をぜひ譲って欲しいと申し入れてきたのです。
相談者も優しい方でしたので土地を譲ることについては了解しましたが、
どこをいくらで売却すれば良いのかわからないため相談に来られました。

お隣が土地を買う必要性、売却後の土地利用、塀の解体費用、税引き後の手取り額などを総合的に検討し、
お隣の通路に接する約3坪の土地部分を相場の4倍の金額でお隣に提示しましたが、交渉はスムーズでスピード成立。
地価が相場の4倍でも、建替えができるようになったことで今まで二束三文だった土地の価値も大きく向上、
長年の悩みが解決できたとお隣さんも大喜びでした。

このように土地の価値が増大するなど買主のメリットが明確な場合は

迷うまでもなく隣地を買う価値はおおいにありますね。

土地は高い買い物です。

お隣の土地といっても、本当に買うメリットや必要性があるかを冷静に見極めましょう。

 
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