2017年01月29日
平賀 功一

マンション共用部分を「禁煙」へと厚労省が検討

平賀 功一

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「たばこのない五輪」を目指し、国を挙げて受動喫煙の防止強化へ


過去最高のメダル数41個(金:12個、銀:8個、銅:21個)を獲得した昨夏のリオデジャネイロ五輪から5カ月余り。いまだ余韻が随所に残るなか、すでに日本国内では3年後の東京五輪へ向けて開催の機運は高まっており、エンブレムの盗用疑惑や二転三転する国立競技場のデザイン・建設費をめぐる騒動など、出鼻をくじく話題には事欠きませんが、2020年へのカウントダウンは始まっています。


そうしたなか、同時並行する形で“もう1つ”のカウントダウンが始まっています。受動喫煙(他人のタバコの煙にさらされること)への対策強化です。


政府は「受動喫煙防止対策強化検討チーム」を立ち上げ、幅広い公共の場などにおける受動喫煙の防止対策に動き出しています。「たばこのない五輪」を掲げる国際オリンピック委員会やWHO(世界保健機関)の意向を踏まえ、近年のオリンピックでは競技場周辺などの公共の場はもとより、幅広い施設で受動喫煙を防止する方向へと舵(かじ)を切っています。



グレーゾーンのマンション共用部分 禁煙は「是」か「非」か?


 厚生労働省も昨年10月、東京五輪に向けた受動喫煙防止の規制強化案を公表しました。受動喫煙による健康への悪影響をなくし、国民・労働者の健康増進を図る観点から、施設の用途や主たる利用者などを勘案しつつ、次のような施設別の防止策を打ち出しました。


【厚生労働省による受動喫煙防止対策の内容(たたき台)】


・官公庁:建物内を禁煙
・社会福祉施設:建物内を禁煙
・運動施設(スタジアム等):建物内を禁煙


・医療機関:敷地内を禁煙
・小学校、中学校、高校:敷地内を禁煙
・大学:建物内を禁煙


・飲食店、ホテル、旅館など:原則、建物内を禁煙(喫煙室の設置は可能)
・事務所(職場):原則、建物内を禁煙(喫煙室の設置は可能)
・ビルなどの共用部分:原則、建物内を禁煙(喫煙室の設置は可能)


・駅や空港ビル、船着場、バスターミナル:原則、建物内を禁煙(喫煙室の設置は可能)
・バス、タクシー:乗り物内は禁煙
・鉄道、船舶:原則、乗り物内は禁煙(喫煙室の設置は可能)


その際、個人の住宅、あるいは多数の人が利用する施設内であっても、その用途が個人の住宅と同様と考えられる場合(ホテルの客室など)は、新たな制度の対象外と言及しています。


その一方、マンションの共用部分については「検討課題」としており、厚労省は禁煙の可能性を残しています。今国会へ法案提出を予定している3月までに方向性を示す考えです。



マンションのバルコニーでの喫煙は違法/名古屋地裁


こうした背景には、マンション内での受動喫煙をめぐる住民間の争いが挙げられます。訴訟へ発展するケースもあり、名古屋市内の分譲マンションでは「バルコニーでの喫煙は違法」との判決が言い渡されました。


訴えを起こした70歳代の女性です。下階のバルコニーから上がってくるたばこの煙がストレスとなり、帯状疱疹(ほうしん)を発症。そこで、手紙や電話で何度もバルコニーでの喫煙をやめるよう求めましたが、真下に住む60歳代の男性は応じようとしませんでした。


こうした態度は「不法行為」(※)を構成すると判示し、名古屋地裁の裁判長は被告に精神的な損害への慰謝料を支払うよう命じました。


「マンションに居住しているという特殊性から、原告女性もたばこの煙が室内に流入することについて、ある程度は受忍すべき義務がある」としつつも、「たとえ自己所有のマンションといえども、いかなる行為が許されるわけではない。その行為が第三者に著しい不利益を及ぼす場合には、使用制限が加えられることはやむを得ない」


と被告を糾弾しました。「受忍限度を超え、違法である」と結論付けたのです。


バルコニーが共用部分であることは説明するまでもないでしょう。東京五輪とどう関係するのかを問われても私には答えられませんが、受動喫煙により人の健康に悪影響が生ずることは科学的に明らかにされています。受動喫煙防止の強化策が急がれているのは間違いありません。


マンション共用部分の禁煙は「是」か「非」か?―― 読者の皆さんも考えてみてください。



(※)不法行為とは、故意または過失により他人の権利を侵害する行為です。不法行為が成立すると、侵害した行為者はその侵害から生じた損害を賠償しなければなりません。

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