不動産に関するなかでも、やはりFPに対してはマイホームに関するご相談が大半です。

もちろん、そのほとんどは「取得する」際なのですが、

ここ数年は「住み替える」際のご相談も顕著に増えている実感があります。

「住み替え」もいろいろで、その前提としては「保有」したまま人に「貸す」であったり、

「転換活用」であったり、「売却」であったりします。

なかでも誰もが真っ先に思いつくところでもあるので、

「売却」のご相談が相対的に多いような気がしています。
でも、その要因は実に様々です。

「これから先の要介護期もにらみ、長らく家族と暮らした住まいを手放すことにしたよ」
といわれるご高齢のご夫婦。

「子供も独立したので、不要な部屋が多くなった。利便性の良いところに引っ越したい」
といわれる初老のご夫婦。

「実家を相続したけど、住むことはないし、空き家にしておくより売るのが賢明だよね」
といわれる中高年の男性。

そして、
「自分の資産のつもりでマンションを購入したけど、賃貸管理も面倒なので売るわ」
といわれるシングル女性(元シングル女性)も、少なくはありません。

今回は、そんななか、30代独身女性でマンションを購入された方のお話をご紹介します。
土屋さん(仮名 独身)からのご相談は、もともとご自身のお住まいになるマンション購入についてでした。

当初は土屋さんの希望も漠然としていて、

「ただ、賃貸で家賃を払うくらいなら」との思いで、所有を希望されていました。
相談が進むにつれ次第に彼女の具体的なイメージは固まっていきました。
私も実現可能な資金面での根拠に特化し妥協しないつもりで臨みました。

果たして、二人で到達した着地は、土屋さんが当初希望していた新築ではなく古ぼけた
1LDKの中古マンションでした。
融資を受けるために若干の難点もあったのですが、

その事情を汲む折り合いを金融機関の方につけていただきつつ、

土屋さんのこだわりを最優先に満たす物件に決まりました。

そうした安堵感もつかの間、1年超ほどが経ち、再び彼女から相談が舞い込みます。
やんごとなき事情で実家に戻らねばならないので、購入した物件を貸すか売りたいと。
結果、賃貸化より、あっけなく売却するのが有利と、

諸専門家の方のご意見も参考に総合的に判断することができました。

根拠は、「具体的ニーズの多い物件」であったから。

近年、全国平均での空き家率は14%弱に達し、人口減に加えた世帯数減が本格化すれば、
この割合が飛躍的に進んでしまうといわれています。
容易に、不動産を貸したり売れたりできなくなる世の中が近づいています。
一方、数年前から、不動産の「リセールバリュー」というワードが普及しつつあります。
どこか、専門的な情報がなくば、的確な個別価値を掴み切れない錯覚を感じます。

でも、全然難しい話ではありません。

不動産流通に関するやたら小難しい専門家の方の話もさることながら、
大切なのは、「あなたという一個人または一家族という属性」が、
「なぜ、この家を選んだのか?」に尽きるのです。
「あなたのこだわり」こそが、最高のマーケティング調査の結果なのです。
要は、「あなた」と同じ価値観を抱く方が、どれだけ世の中にいるのか、なのかもしれないですね。

 
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