平成27年に改正された相続税法により、基礎控除が従来の6割水準(※1)に引き下げられたことで、改正前であれば遺産総額が相続税の基礎控除の範囲内で収まっていた方が、増税により「課税され納税しなくてはならない」と俄然注目されています。
 
 
 相続税に対する節税対策はいくつかありますが、「現預金を不動産に変えて相続税の評価額を引き下げる」という手法があります。
 
 
 はじめに相続における「不動産の評価」についておさらいしてみましょう。相続における不動産の評価は、土地と建物に区分されて評価します。相続財産となる不動産がマンションである場合でも、土地部分と建物部分に分けて評価することになります。
 
 
 まず土地の評価は、路線価方式と倍率方式のいずれかで評価(※2)します。路線価は、主に市街地を対象に国税庁が毎年1月1日時点の価格を7月に公表するもので、売買価格(時価)に近いとされる公示地価(※3)の概ね8割の水準といわれています。それに対して倍率方式の評価は、路線価が定められていない地域に対して一定の倍率で評価され適用されます。
 
 相続税に対する節税という観点では、土地の評価額は、現預金を不動産に変えることで相続税の評価額は2割引になりました。
 
 
 ここからさらにアパート経営等の「不動産投資をする」という前提にしてみましょう。すると土地は、相続時の土地評価に関する特例措置(※4)があり、一定の条件を満たすことでさらに5割引になります。例えば、5,000万円の現預金を使って土地を購入した場合、相続税評価は概ね4,000万円となり、そして特例措置に該当すれば半額の2,000万円程度と評価され、何と3,000万円もの引きされた評価になりました。
 
 
 次に建物の評価(※2)は、固定資産税評価額が評価の対象となり概ね新築価格から経過年数に応じて減価された評価となります。上記の土地にアパートを3,000万円の建設費で建てた場合のその評価は、借家権割合(※5)に応じて減額され、アパートすべての部屋を貸し出したとすると建物評価額の3割引(※6東京都の場合)となり、2,100万円で評価されます。

 現金8,000万円を使って、土地の購入代金5,000万円と建物の建設費用3,000万円のアパートの相続税評価は、概算で4,100万円にまで圧縮評価されることになります。つまり、3,900万円分の相続税課税評価額が消滅することになります。
 
 
 さらに相続税の節税を探求するのであれば、上記の土地と建物の代金を不動産ローンなど利用して債務控除(※7)を受けてさらに圧縮する手法が用いられます。いわゆる「借金も財産」となり、財産評価を下げる効果があります。
 
 
 このように現預金を使って不動産を購入することにより「相続税の節税対策」として有効であることが確認できます。同時にアパートから「家賃収入」が得られることが期待されます。
 
 
 とはいえ、節税ばかりに目を向け過ぎると複数人の相続人が存在する場合は、相続財産が「不動産に偏りすぎてしまい」相続人の間で不均衡が生じ易く、揉める原因となりかねません。
 また、節税効果が高まるアパート建設等の不動産投資に踏み込めば、アパート経営というリスクを負うことになります。
 
 
※1 国税庁:タックスアンサー「2.基礎控除と正味の遺産額」
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4102.htm

※2 国税庁:タックスアンサー「土地家屋の評価」
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4602.htm

※3 国土交通省:土地総合ライブラリー「地価公示」
http://tochi.mlit.go.jp/kakaku/chikakouji-kakaku

※4 国税庁:タックスアンサー「相続した事業の用や居住用の宅地等の評価の特例」
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4124.htm

※5 国税庁:財産評価基準書 路線価図・評価倍率表
http://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm ※6 国税庁:タックスアンサー「アパート等の貸家の評価」
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4602_qa.htm#q2

※7 国税庁:タックスアンサー「相続財産から控除できる債務」
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4126.htm

 
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