こんにちは、弁護士の岩﨑孝太郎です。

 不動産の売買を行うとき、不動産業者でなくても、必ず登記簿を確認すると思います。

今日は、そんな不動産の登記にまつわるお話をしてみたいと思います。

 不動産登記簿は、法務局に行って確認することができますし、

簡易に閲覧するだけであれば、インターネットでも見ることができます。

 何気なく知っていて、見たことがある登記簿ですが、

法律的にはどのような役割を担っているのでしょうか。

 不動産登記簿は、土地や建物の所在・面積の他に、所有者の住所・氏名などを

公開している登記簿に記載をして、権利関係をなどを誰にでも分かるようにすることで、

取引の安全と円滑を図る役割を担うと言われています。

 不動産登記に関して、一番大きな特徴は、「不動産に公信力がない」ということです。

「不動産に公信力がない」とは、すなわち、不動産登記簿に記載されている所有者と、真実の所有者とが異なっていた場合、

不動産登記簿を信じて、不動産登記簿に記載されている者より当該不動産を買い受けたとしても、

その所有者が実際に所有者でないならば、不動産登記簿を自分のところに移転したとしても、

その不動産を手にすることができない、というルールになります。

 不動産取引を行う際には登記簿を確認しますよね、と言っておきながら、

「不動産に公信力がない」と意味がないのでは?と思われるかもしれません。

 もっとも、不動産には登記という明確な公示方法が採られており、

実際の権利者と異なる人が登記簿に登記されている可能性は、実際問題としては低いです。

 そして、真の所有者が、実体とは異なる登記をすることに関与しているような例外的な場合には、

権利外観法理などと呼ばれる理屈によって、真実とは異なる登記を信頼して取引に入った者を

保護する仕組みができています。

 初めて「不動産に公信力がない」という話を聞くと、

ではなぜこんなに売買のときに登記簿を確認するのか、とか、

登記だけの確認では不十分ではないか、とか、疑問を持ってしまうかもしれません。

 ですが、上述したように、理屈の面においても、また実務の運用としても、

不動産取引の安全が図られていることは、ご理解いただけるのではないかと思います。

 
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