毎週金曜日配信、「人生の上がり3ホール、賢いシニアのお金の話」
お金・資産運用のプロ 中村伸一さんが「ヤングシニア」向けの資産運用や、老後資金に関してのノウハウを、ゴルフ要素を交えながら伝授します。

今回は、もしもの入院の際に、支払う自己負担金についてのお話です。(リビンマガジンBiz編集部)


(画像=Pixabay)

第0打:コースマネージメント 自己負担となる費用

とうとう、残り2ホールとなりました。
17番は207ヤードと少し長めのショートホールです。グリーン奥は、OBになっているので、Aさんは手前から攻めていくことを意識しながら打とうと考えました。

思いがけない病気やけがで入院、なんてことが増えてくるのがヤングシニア世代です。病院での生活には、「食事代」「宿泊料」のほかに「医療費の自己負担」がかかります。今回は、この「食事代」「宿泊料」「医療費の自己負担」がいくらぐらいかかるのか。公表されているデータをもとに検証してみます。

第1打:①病院での食事代

まず、病院での「食事代」です。健康保険の被保険者は、入院中の食事代は一部を自己負担すれば、残りを健康保険が「入院時食事療養費」として負担してくれます。この自己負担の金額は、1食あたり360円です。来年2018年4月からは、1食につきに460円に変わります。食事代は、退院時に支払うことになっています。

1カ月(30日)の入院で、毎日3食きちっと食事をした場合、これまでは、32,400円でした。2018年4月以降は、41,400円を支払うことになります。1カ月4万円以上の食事代を、皆さんどう感じられるでしょうか。

私はあの病院食を思い出すと、「高いな」という印象です。

アゲンストの風なので、5番ウッドでフルスイングしたAさんの球は、うまく風とけんかしてピンから8m手前の地点に落ちました。作戦が功を奏したようです。

第2打:②差額ベッド代

グリーン上、残り8mの大きく曲がるスライスラインです。Aさんは、ピンから3mほど左を狙って、打ち出しました。ピンまで1.7残りました。

差額ベッド代」とは、健康保険適用の範囲外で患者に請求される費用のことです。
入院生活を快適に過ごすには、部屋の良し悪しは非常に重要です。また、入院費の額を大きく左右します。

通常、医療費は、健康保険により3割負担になります。さらに高額医療制度により、80,100円を超えた額については、一定割合をかけた金額が払い戻されます。
しかし、差額ベッド代は全額自己負担です。

では「差額ベッド代」がかかるのは、どんな場合でしょうか。
基本的には
・1~4人部屋
・病室の面積が一人当たり6.4㎡以上であること
・プライバシーを確保するための設備があること
などが差額ベッドになる部屋の要件になります。厚生労働省が発表した一日当たりの平均差額ベッド代は6,129円です。これは1人部屋から4人部屋までの平均額なので、少し高めに出ています。ちなみに、1カ月(30日)の差額ベッド代を全平均で計算すると183,870円でした。

第3打:③医療費の自己負担分

最後に、「治療費」です。これは、先ほど述べた高額医療費自己負担額までが自己負担限度額です。
例として、小細胞肺がん限局型の場合(国民健康保険の高額療養費制度を使えたとします)
手術+手術後抗がん剤療法の治療費のトータルは、約296万円です。
医療費の自己負担額は、
107,030円【(2,960,000円-267,000円)×1%+80,100円)】です。

また、乳房切除手術と放射線照射の治療費のトータルは、約151万円です(国民健康保険の高額療養費制度を使えたとします。)。
医療費の自己負担額は、
92,530円【(1,510,000円-267,000円)×1%+80,100円)】です。

残り1.7mを強めに打ったAさんの球は、カップに蹴られてしまい、30㎝オーバーしました。


(画像=Pixabay)

第4打:トータルの自己負担額

1カ月における入院費の自己負担は、①「食事代の自己負担」②「差額ベッド代」「③医療費の自己負担」の合計です。

先述の例で計算すると、
肺がんのケースでは、323,300円/月です。
(①32,400円(2018年4月まで)+②183,870円+③107,030円)

乳がんのケースでは、308,800円/月です。
(①32,400円(2018年4月まで)+②183,870円+③92,530円)です。

ヤングシニア世代の方は、医療保険に加入されている方がほとんどだと思います。例えば、入院保障の日額が5,000円、手術給付金が100,000円(入院日額の20倍)の医療保険があるとします。この場合、250,000円が保険金です。がん保険ですと、がんと診断された場合、50万円の一時金が出る場合があります。その場合は、例としてあげた入院費をすべて保険でまかなうことができますね。
保険の掛け金とのバランスになりますが、がん保険の重要性がかなり感じられるのではないでしょうか。

30㎝のボギーパットは、タップインで終わりました。

 
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