2016年12月26日
皆藤 一郎

登記の設定者も権利者ももうこの世にいないんだけど。

皆藤 一郎

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 こんにちは。不動産相続ナビゲーターⓇの皆藤一郎です。分譲マンションにお住まいの方、敷地である土地の登記簿を見たことがありますか?比較的新しい区分所有マンションの場合、土地が借地でない限り登記簿の「権利部(甲区)(所有権に関する事項)」の「登記の目的」欄には「所有権敷地権」と記載されているはずです。

 

 これは分譲マンションの各専有部分の権利と土地の権利(敷地利用権)をセットとして一体化する目的で1983年(昭和58年)の「区分所有法」の改正により法文化されたことによります。敷地土地が共有名義の登記であった場合、権利の変更や担保設定の登記などを行う際、区分所有者が多いほど一筆の土地の登記簿がもの凄く複雑になりトラブルになることを防ぐための改正で、現在新築のマンションは分譲時から土地の権利は敷地権になっています。

 

 土地が敷地権登記されているマンションであれば、通常区分所有である専有部分の権利変更、権利設定に伴って土地の利用権は自動的に一体として付随している「はず」となっており、土地の登記簿「権利部(乙区)(所有権以外の権利に関する事項)」には何も新たに記載されることは原則ありません。



 

 

 

 ところが、1983年の区分所有法改正以前に建てられたマンションの場合、管理組合主導等で共有登記から敷地権登記に移行しているところが多いと思いますが、それが進んでいなかったり、手続きに不備があったりするケースもあり注意が必要なときがあります。

 

【敷地権登記になっているのに賃借権登記がある?】
 

 前々回とその前のコラムで書いた、デザイナーズリフォームをして売却したマンションの敷地がそのケースでした。(↓ご参考:その時のコラム)
https://www.lvnmatch.com/magazine/article/column/10014/column_392.html

 

 このマンションの場合、昭和40年代の新築分譲当時には当然敷地土地は共有登記となっていました。区分所有法改正以後に敷地権化を進めたようです。その際何らかの理由で1軒の方が共有持分の敷地権化に同意しなかったようです。(下の写真の「甲区」ご参照)これ自体は登記の煩雑さを招くものでも問題を引き起すものでもないので、建替えの際などに所有者の承諾を得れば良いかと思います。

 

 問題は「乙区」。その上記の同意しなかった人の関係登記が残っているのかと思いきや、そうでない賃借権の仮登記が一つだけ残っておりしかもその設定者は「依頼人の亡くなったご主人じゃん。。。」。更に権利者は新築当時の分譲会社で会社は清算して無くなっている。さあどうする?



 

 

 何故このような登記が残っているのか?権利関係書類を過去の分から辿って全てチェックさせてもらったところ、どうやらマンション分譲時の代金支払いは住宅ローン利用というより「割賦販売」で、完済までの期間中は土地建物に分譲会社が停止条件付きの賃借権の仮登記をつけるというものだったようです。完済時に建物の方の仮登記は抹消されたのですが、登記業務を受託した関係者のミスなのか土地の共有持分に関する仮登記を抹消しそこねたようです。

 

 売却のお手伝いをするに当たり、これをこのままスルーしても大丈夫か?とも考えましたが、当該の不動産に関する不自然な登記が残ったままだと売りづらい可能性があることと、将来的に建替えを行う際に権利調整に不都合が生じる可能性があると思われることから、解決することに決めました。

 

 こういうときに優秀な士業の友人・知人が多いと助かります。

 

 依頼するのは「被相続人が設定者である、清算して存在が無くなった会社が権利者の賃借権仮登記の抹消」登記業務です。かなり面倒くさそうな依頼ですが、相談した友人の司法書士はいやな顔ひとつせず業務を受諾してくれて、法務局にも経緯確認のうえ解決の道筋をつけてくれました。

 

 権利者の会社は10年以上前に清算してすでに存在しないのですが、当時の清算人を探して見つけてくれて、事情を説明し抹消登記に協力していただく約束を取り付けてくれました。分譲当時の会社は清算時には合併などで社名変更しており、その同一性の証明などややこしい話もあったのですが、約2ヶ月程で抹消登記を完了するに至りました。本当に優秀な司法書士の友人に感謝です。

 

 普段何も気にせず過ごしている自宅でも、登記簿をよく目を凝らして見てみると隠れた問題が潜んでいるかもしれません。


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