毎週水曜日配信、「カジコンの不動産業界地獄耳」
業界歴21年、不動産会社専門コンサルタント 梶本幸治さんが、不動産業界で見た・聞いた話を紹介します。

不動産会社もサービス業です。なかには困ったお客に翻弄されることもしばしば…。今回は現地内覧会に出没する「不動産マニア」のお話です。(リビンマガジンBiz編集部)

(画像=写真AC)

不動産屋に相談したら、後からガンガン電話がかかってきて困ったよ~」って話をよく聞きますよね。まぁ、最近の不動産屋さんはそんなガツガツ営業するところも減ってきましたが。なんとなく不動産屋さんと言えば、しつこく追っかけてくるイメージがあります。

しかし、そんな熱血(?)不動産営業マンをして「お願いですから、もう問い合わせて来ないで下さい」と言わしめる手強いお客がいらっしゃるようです。
本日は、私の知人の知人Bさんが遭遇した、強者のお客をご紹介しましょう。

とある日曜日、Bさんは自身が担当する中古一戸建ての現地内覧会を開催し、13時から物件内で待機していたそうです。
オープンハウスの開催時間は13時~18時を予定していましたが、15時を過ぎても来場者は0。ポカポカと暖かい日差しがお家の中に差し込み、Bさんはコックリコックリと舟を漕ぎだしました。
と、そこへ玄関の方から女性の大きな声が聞えて来ました。
「すみませ~ん。チラシを見て来たんですが。お家の中を見せて頂けますか~!」

鼻提灯がパチンと弾け飛んだBさんは、スーツの上着を右手で掴むと玄関へ急ぎます。
そこには年齢60歳半ばくらいの女性が、スーパーの帰りといった感じで立っておられました。
「どうそどうぞ、ゆっくりとご覧ください」とお客様を招じ入れたBさんです。しかし内心は「なんだ、スーパー帰りの冷やかしのお客さんかぁ。まぁ、暇つぶしには丁度良いかぁ」と思ったそう。

しかし、冷やかしのお客だと思っていた女性は「先月、○○不動産から売りに出ていた二丁目の物件と比べると綺麗で良いね」や「坪単価40万円だと考えたらお手頃の価格設定ね」などと、かなり周辺の不動産事情に詳しい様子。
「これは真剣に物件を探しているのかもしれない!」と思ったBさんは、それまでの「第三戦闘態勢」から「第一戦闘態勢」にギアチェンジ!その後、ポツリポツリと来場された他のお客様への対応もそこそこに、この女性にターゲットを絞って接客を行いました。

結局、その場で購入の申し込みは頂けなかったものの、好感触を感じながらBさんは会社に戻りました。上司にも好感触のお客様が来場された旨を報告したあと、ふとお客様が話しておられた「○○不動産から売りに出ていた二丁目の物件」が気になったBさんは○○不動産の知り合いに電話をかけました。

「今日、ウチの現地内覧会に来られたお客様が契約になりそうなんだけど、○○不動産で売りに出しておられた二丁目の物件の話になってさ~。あれってどんな物件だっけ?」と○○不動産の知り合いに尋ねたBさんに対し、この知り合いからは予想もしなかった言葉が返ってきました。

「そのお客さんってさぁ、年齢65歳くらいでスーパーの帰りみたいな格好していなかった?その人なら、ウチの物件も買いそうなこと言ってたよ。それから△△住宅さんや、□□ホームさんの現場にも来て、この物件が欲しいって言ってたそうだし。Bさんも聞いたことない?【不動産マニアおばさん】の話」。

(画像=写真AC)

ここでBさんは思い出しました。他社の営業マンから聞いた「とある都市伝説」を。

その都市伝説とは、毎週末いろいろな不動産会社の現地内覧会に出没し、いまにも買いそうな素振りを見せたあと、「物件の詳細を聞きたいから家に来て欲しい」や「物件購入の参考にしたいから諸費用表を作って今すぐ持ってきて欲しい」などと営業担当を追まわし、最終的には物件を購入しないことから【不動産マニアおばさん】と呼ばれ恐れられている女性がいる…という話でした。

噂には聞いていたものの、自身の現地内覧会に【不動産マニアおばさん】が出没したことに驚いたBさん。その後も伝説の通り、この女性からガンガン電話が入ったそうです。この女性がなぜ、そのような行動を取っているのかは分かりませんが、「あなたは不動産マニアおばさんでしょ?もう、連絡して来ないで下さい」と言うわけにも行かず、本当に大変だったと聞きました。

不動産営業マンからの営業電話に悩んでおられる方は、逆にガンガン質問攻めにして「不動産マニア」を装い、営業マンの方から手を引くように仕向けるのも得策かも知れません。

 
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