2017年10月04日
カジコンの 不動産業界地獄耳

早朝、なぜ営業マンは売主宅にチラシを差し込んだのか?

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毎週水曜日配信、「カジコンの不動産業界地獄耳」




業界歴21年、不動産会社専門コンサルタント 梶本幸治さんが、不動産業界で見た・聞いた話を紹介します。

今回は、皆さんのお家のポストにも投函されているかもしれない、売り物件のチラシにまつわるお話です。(リビンマガジンBiz編集部)




(画像=写真AC)


あなたが持っている不動産を売却する際、次の2社ならどちらの不動産会社に依頼しますか?
社:毎週チラシを配布して、宣伝活動を実施してくれる不動産会社
社:たまにしかチラシを配布せず、宣伝活動が不十分な不動産会社
おそらく、ほとんどの方が「A社」を選択されると思います。

しかし、チラシ紙面の大きさは限られています。
売れない物件」を掲載し続ける余裕など、不動産会社にはありません。毎週チラシを入れないと売主からの信頼を得られないけれど、売れない物件を載せ続けることもできない…そんな時に、不動産営業マンはどうするのでしょうか?


私の知り合いであるOさんは、現在、地域密着型不動産会社の営業部長です。誠実な営業手法に定評があります。このOさん、若い時は大手不動産仲介会社に勤務し、なかなかキワドイ営業を行っていたようです―。時代は20年ほどさかのぼります。


若きOさんは悩んでいました。
売却依頼を受けた物件が売れないのです。当たり前の話です。相場が3,000万円の物件を、売主さんの希望により3,500万円で売りに出しているのですから。

3カ月前、売主さんから販売依頼を受けた際、「売り出し価格はご希望でいいですよ。毎週チラシも入れますから」と、調子の良いことを言ったツケが回ってきました。まぁ、あぁでも言わなければ、他社に販売依頼を取られていた可能性があるので、仕方ないのですが…。

媒介契約(販売を任せて貰う契約)期間は3カ月更新です。そろそろ契約の更新時期が迫ってきました。

Oさんは、次の更新では一気に値下げして、売りきる気持ちでいました。そのためには、チラシを今まで以上にたくさん配布し、「こんなにチラシを入れて貰っても売れないのだから、価格を下げることも仕方ないよね」と売主に思っていただく必要があります。
そんな思惑を抱いていた時、Oさんは直属の上司である営業所長に声を掛けられました。

「おい!例の売れない物件だけど、来週のチラシからは外すぞ。売れない物件を掲載しても問い合わせは取れないからな」

この一言で、Oさんの「媒介契約更新前にチラシを大量配布して、売主に値下げを納得してもらう作戦」は頓挫しました。

悩みに悩んだOさんは、思いつきました。
そうだ!朝早く起きて、売主宅のポストに売主さんの物件の載ったチラシを突っ込もう。売主さんさえチラシを見てくれれば良いのだから!

その週末、土曜日も日曜日もOさんは早起きし、売主宅近くの物陰に隠れ、朝刊を配る新聞配達員が来るのを待っていました。ブロロ…と、配達員の載るバイクが近づいてきます。
そして、朝刊が配られ、バイクが去って行ったあと、Oさんは物陰から飛び出しました。朝刊の中へチラシを素早く突っ込みます。朝刊に入っているチラシを見た売主は「ちゃんと新聞に折り込み広告が入っているな」と感じるはず。

その後は、Oさんが描いたストーリー通りに展開していったそうです。
これだけチラシを入れても売れないのは、価格が高いということです」というOさんのアドバイスを聞き入れた売主は、売り出し価格を3500万円から3080万円に変更しました。そして、最終的には当初の査定価格通り、3,000万円で成約になりました。
物件の引き渡し後、Oさんは売主から「本当に一生懸命頑張ってくれてありがとう。価格が高いのに毎週チラシを入れてくれて感謝しています」と告げられたそうです。

しかし、そんな営業手法に嫌気がさしたOさんは程なくして、地元の不動産会社に転職しました。この大手不動産仲介時代とは真逆の「馬鹿が付くほど真面目で誠実」な営業を心掛け、営業部長にまで出世しました。

今、Oさんは部下の営業マン達に「とにかくお客様には誠実な応対をしろ!至誠(しせい)天に通ず!」と教えているそうです。
人間って、成長できるものなのですね。



【お知らせ】

今回で「カジコンの不動産業界地獄耳」は終了です。
新連載「
元不動産営業マン梶本の、結果を残す営業術」で新しいコラムを読むことができます!

ご愛読いただきありがとうございました。


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