毎週水曜日配信、「元不動産営業マン梶本の、結果を残す営業術」

業界歴21年、不動産会社専門コンサルタント 梶本幸治さんが、デキる営業の心得、成功している不動産会社の特徴を紹介します。

ついつい急かしてしまう「不動産買付証明」。しかし、買主の心理を理解していないと、商談が流れる可能性があるので注意が必要です。(リビンマガジンBiz編集部)


(画像=リビンマガジンBiz編集部)

買い付けを取る時ってワクワクしますよね。

不動産営業パーソンの「楽しいと思う瞬間ランキング」があれば、上位3位以内には入りそうです。しかし、しっかりとした手順を踏まずに取った買い付けは「飛ぶ(商談が流れる)」ことがありますから、要注意です。

先日、「買い付けが飛んだ!」と嘆いていた営業パーソンに出会い、その買付証明を見せてもらったのですが、どんな内容だったかご紹介しますね。

売買価格:30,000,000円
手付金:3,000,000円(売買契約時)
契約日:相談
契約場所:相談
引渡日:相談
ローン利用:27,000,000円
金融機関:弊社斡旋金融機関

これでは、買い付けが飛ぶのもうなずけます。
結局、上記の買い付けでは売主様に価格の了承をいただき、具体的な契約日や引渡日をつめる段階になって…買主様の気が変わったそうです。
このように契約日や契約場所、引渡日といったなにもかもを「相談」にしている買い付けは、買付取得時の購入意思確認が不充分になりがちです。
「契約日はいつにしますか?」
「いつまでに引き渡しを受けたいですか?」
と、具体的な打ち合わせを進めるうちに、買主の購入意思も固まります。
しかし、「とりあえず価格の交渉をしましょう」といったノリで商談を進めて希望価格のみにフォーカスすると、売主様に価格の了承をいただいたにも関わらず買主様の気持ちが冷めて、買いからコケてしまうといった不細工なことになりかねません。

ここまで読んで下さった営業パーソンの中には、次にように思っておられる方がいらっしゃると思います。

「いやいや、買い付けはスピードなのだから、とにかく価格交渉を早く始める必要があるよ」
「契約日を記載するっていっても、売主様にも事情があるだろうし【相談】で良いんじゃない?」

確かに買い付けはスピード重視です。しかし、「巧遅は駄目」という意味で「拙速でも良い」という意味ではありません。お客様への情報提供やクロージングに至るまでの時間は素早くしつつも、最終的な結論を迫る買付証明取得時は、「絶対に買い付けを飛ばさせない」との確信が得られるまで、お客様と商談を行いましょう。

次に、売主様の事情を聞いてから契約日等を設定する点ですが、これは当然のことです。
しかし、買付証明書は「買主様の希望を記した書面」であり、買付証明をもとに全ての交渉が開始します。ここでいう交渉とは単に価格のみを指すのではなく、その他契約日や決済日、手付金の額なども含まれます。従って、まずは買主様の希望全てを買付証明に記載し、そこから売主様との交渉を行いましょう。

買い付けを焦る気持ちは痛いほど理解できますが、丁寧な買付取得を目指して下さい。

本日の格言
・契約日や希望引き渡し日を丁寧に決めていくことで、買主の購入意思を固めることが、買い付けが飛ばない秘訣!
・買付証明書は「買主の希望を記した書面」であることを理解し、情報をしっかりと載せたうえで売主と交渉するべし!

 
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