【問3】売主査定訪問前の準備に関する問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト

「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。今回から、不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。もちろん納得感のある解説付きです。今回は反響があった売主に始めて会うときの準備について。あなたは正解できますか?(リビンマガジンBiz編集部)

画像=写真AC

【問3】不動産一括査定を通じてお問い合わせ下さったお客様と、初めてお会いする(売主査定訪問)前の準備として誤っているものはどれか。

1. 不動産一括査定サイトから送られてきたお客様情報(送客情報)を隅から隅までしっかりと読み込み、お客様が何故、不動産売却を検討されるに至ったかを理解する。

2. お客様の名前をインターネットで検索し、FacebookやTwitter、お勤め先等々、インターネット上で取得出来るお客様の情報は、予め入手しておく。

3. 査定物件の登記簿謄本(登記事項証明書)は予め取得し、築年数や面積、残債額は勿論の事、甲区・乙区の内容もしっかりと読み込み、お客様が不動産売却を検討されている理由を推測しておく。

4. 不動産価格査定書は事前に作成・製本しておき、お客様とお会いした時点で、直ちに提示出来る状態にしておく。


【正解肢】4

【解説】

1.(正)送客情報は適当に斜め読みする事なく、しっかりと熟読するべきである。例えば、依頼の理由が「買い換え」で、査定会社への要望に「時間がかかっても高く売りたい」と書いてあった場合、「何故、買い換えなのに現家処分に時間がかかっても良いのだろう?」などと言った疑問を持つべきである。お客様が深く考えず何気なくそのように記載される場合も多いが、不動産営業としては、これらの点にも細かく注意を払いたい。

2.(正)かの孫子も「彼を知り己を知れば百戦殆からず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば戦う毎に必ず殆し」と説いているように、事前情報は多ければ多いほど良い。FacebookやTwitterの他、勤め先のホームページ、大学時代の卒論等がヒットする場合も多い。

3.(正)登記簿謄本(登記事項証明書)は情報の塊であり、不動産営業担当者なら的確に読み解くべきである。例えば、「財産分与」を登記原因として登記がされている時は、全て離婚による所有権移転であり、根抵当権が設定されている場合は、お客様が会社経営者である可能性大といった事くらいは最低限知っておくべきである。

4.(誤)不動産一括査定を通じてお問い合わせ下さったお客様と初めてお会いする(売主査定訪問)時は必ず査定書を持参すべきである、従って本肢の前半部分は正しい。しかし、査定書の提示はお客様の売却理由や希望価格のヒアリングが完了した後に行うべきであり、本肢記述のようなお客様とお会いした時点で直ちに提示する事は得策ではない。従って本肢の記述は誤りであり本問の正解肢となる。

【参考記事】

不動産一括査定の「送客情報」を読み込む意義とは?(2019年08月14日公開)

不動産一括査定の「送客情報」を読み込む意義とは?(2019年08月14日公開)

登記簿謄本で酒が飲めるようになれば、媒介の山が築ける(2019年08月28日公開)

不動産価格査定書は、作っても「見せずに受託する」ことを目指す!(2017年11月01日公開)

※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。

 
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