【問16】お客様がいますDM反響時の注意点に関する問題

「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。


第16回目となる今回は、ダイレクトメールからの反響について考えましょう。(リビンマガジンBiz編集部)

画像=写真AC

【問16】具体的に「買いたいお客様」がいらっしゃる不動産の所有者様へ「お客様がいますDM」を送付したとする。

その後、このDMをご覧になりお問い合わせ下さった不動産所有者様から「本当に買いたいお客様がいるの?」若しくは「そのお客様は、いくらで買いたいと言っているの?」と尋ねられた時、営業担当者の回答として適切なものはどれか。

1. はい!本当に買いたいお客様はいらっしゃいます。〇〇〇〇万円前後でご検討されています。

2. 買いたいお客様もいらっしゃいます。そして、実際に売却活動を開始される時には、このお客様へのご紹介以外にもネットやチラシへの掲載等、様々な販売活動を実施して高く売却します。

3. お客様はいらっしゃいます。相場より高く購入される可能性もございます。しかし、具体的なご商談は正式に弊社へ販売依頼を頂いた後になります。

4. 本当に買いたいかと言われますと、言い切る事は出来ません。具体的にお話を進めてみないと何とも申し上げられません。


【正解肢】3

【解説】

1.(誤)媒介契約も締結していない物件に対し、「〇〇〇〇万円前後でご検討されています」と不動産所有者様に答えることは、宅建業法上問題があると考える。又、宅建業法の問題だけでなく、大した根拠もなく価格の話をする事は、営業面でも得策とは言えない。

2.(誤)「お客様がいらっしゃる」という理由で売却提案を行っている以上、先ずはこのお客様との商談を白黒はっきりさせるべきである。あれもこれも提案しては、不動産所有者様を困惑させ不信感を持たれてしまう危険性が高い。

3.(正)肢1の解説でも触れた通り、物件紹介という行為は販売活動であり、媒介契約の締結が必要である。従って不動産所有者様には「全ては媒介契約を頂いてから」とのご説明が必要である。また、商談初頭において「契約」という重い言葉は営業テクニック上用いる事は憚られるため、本肢記述のように「正式に弊社へ販売依頼」といった表現が望ましいと考える。よって本肢の記述は正しく、本問の正解肢となる。

4.(誤)このように弱気な提案で不動産所有者の信頼を得られるとは思えない。確かに言い切る事は出来ず、具体的にお話を進めてみないと何とも言えない事は事実であるが、不動産所有者様が尋ねておられる事はそのような意味でない。

【参考記事】

・買主様がいますDMでのトーク術 先ずは媒介受託からスタート(2020年01月08日公開) ・買い主様がいますDMでのトーク術|価格の交渉幅を確認する(2020年01月15日公開) ・お客様がいますチラシ|不動産売り求むチラシ作成講座(2020年02月26日公開) ・こんな物件探していますチラシ|不動産売り求むチラシ作成講座(2020年03月04日公開)

※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。

 
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