【問30】不動産売却相談会開催のメリットに関する問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト

「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第30回は、売却相談会のメリットについて考えましょう。(リビンマガジンBiz編集部)


画像=Pixta

【問30】

不動産会社が不動産売却相談会を開催するメリットとして、最も重要であると考えられる事柄は次の内どれか?

1. 不動産売却相談会を開催するに当たっては、チラシの配布や各市区町村発行の冊子(市政だより等)への掲載によって告知を行う。このように相談会開催で新規のお客様を集客出来ることが、不動産売却相談会を開催する最大メリットといえる。

2. 不動産売却相談会を年間3~4回程度開催する事により、エリア内住民に対する認知度が高まる。「あの不動産会社さんは、頻繁に相談会を開催していて頼りになる」との評判が広がれば、エリア内での仕入れ増に繋がる。このようにクチコミを広げる事が、不動産売却相談会を開催する最大メリットといえる。

3. 不動産売却セミナーを開催するに当たっては、既存の不動産所有者リスト顧客(既査定顧客・空き地空き家所有者・不動産一括査定サイト反響顧客等)へ、相談会開催のご案内状を送付する。そして、案内状を送付するだけでなく、併せて電話によるご案内を実施する。このように不動産所有者顧客に対し、長期的且つ定期的に追客出来る事が、不動産売却相談会を開催する最大メリットといえる。

4. 不動産売却セミナーでは、そのエリア内での不動産売却方法などをテーマとして講演を行うが、その講師は営業担当者が務める。講師として相談会に登壇する以上、事前の準備が必要であり、その準備作業において知識の定着や整理が可能となる。このように営業担当者のスキル向上を図れる点が不動産売却相談会を開催する最大メリットといえる。

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【正解肢】3

【解説】

1.(誤)確かに新規顧客の集客が出来る点は、不動産売却相談会を開催するメリットの一つではある。しかし、不動産一括査定サイトを活用した方が集客のコストパフォーマンスは高く、「新規集客」が不動産売却相談会を開催する最大メリットとは言い難い。

2.(誤)定期的且つ長期間にわたって不動産売却相談会を開催すれば、仕入れ増に繋がるクチコミが広がる可能性はある。しかし、クチコミを意図的に広げる事は難しい。クチコミが広がるとしてもそれは相談会開催による副次的な産物に過ぎないと言えよう。従って、「クチコミの拡大」が不動産売却相談会を開催する最大メリットとは言い難い。

3.(正)不動産購入希望顧客に対しては「新しい物件が売りに出ましたよ」と言えば追客出来る。その点、不動産所有者顧客に対しては「あれからどうですか?」という漠然としてアプローチしか出来ない。しかし、不動産売却相談会の開催告知電話であれば、「あれから、売却の予定は如何ですか?」という電話よりも違和感なくアプローチ出来る。不動産売却相談会開催は、今まで良い手だてがなかった不動産所有者顧客への追客を容易にする事から、不動産会社が不動産売却相談会を開催するメリットとして、最も重要であると考えられる。よって本肢の記述は正しく、本問の正解肢となる。

4.(誤)営業担当者が講師を務めるに当たっては、事前の準備が欠かせない。そして、この事前準備の中で知識の定着や整理が可能となる事は事実である。しかし、プロである以上、相談会の開催が無くとも不動産知識の定着や整理に対しては不断の努力を続けるべきである。従って、「営業担当者のスキル向上」が不動産売却相談会を開催する最大メリットとは言い難い。

【参考記事】

・不動産売却希望顧客の長期追客には、売却相談会の開催が最適⁉(2020年06月17日公開)

不動産売り求むチラシ実施の方法は新聞折込?ポスティング?(2020年04月01日公開)

売却相談会開催チラシ|不動産売り求むチラシ作成講座(2020年03月25日公開)

※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。

 
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