2018年07月26日
税理士 金井義家 ニュースの目利き

マンション買取再販会社の受難!消費税が不動産会社を潰す理由

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税理士 金井義家 ニュースの目利き


ちまたにあふれるニュースの中には、不動産ビジネスに役立つ「金のニュース」が存在する。不動産ビジネスに造詣の深い公認会計士・税理士の金井義家さんが解説します。(リビンマガジンBiz編集部)




(画像=写真AC)



今回は消費税について取り上げます。おそらく全国民にとって最も身近な税金である消費税ですが、この扱いをめぐっていくつかの不動産会社が存亡の危機にたたされているのです。いったい、なぜ消費税が不動産会社を潰すのか。詳しく解説していきましょう。



消費税というのは、実は売主に預けているだけ


私たち一般消費者(=買主)は、ものやサービスを購入すると代金に8%の消費税を上乗せして払うことになります。売主は受け取った消費税をどうしているかというと、これは私たちから単に預かっているようなものなので、そっくりそのまま税務署へ納めるというイメージになります。もう少し詳しく見て行きましょう。


ここで私たちが消費税を支払う最も身近な存在であるコンビニエンスストアを考えてみましょう。コンビニエンスストアは、商品、例えばおにぎりやペットボトルのお茶を仕入れて、マージン(利益)を上乗せして、一般消費者である私たちに転売するというビジネスです。


仮に100円でおにぎりを仕入れてきて、150円で私たちに売却した場合、下記のように消費税が発生します。


コンビニエンスストアは購入時に仕入先に「100円×8%=8円」の消費税を支払う

コンビニエンスストアは売却時に私たちから「150円×8%=12円」の消費税を受け取る


ここでのポイントはおにぎりを買った時には、コンビニエンスストアであろうと、一般消費者である私たちであろうと、常に買主は売主に8%の消費税を上乗せして支払うということです。そして売主から見たこの消費税は、買主から預かったようなものですから、申告期限が来ればそっくりそのまま税務署にただ持っていくだけというイメージになります。つまりコンビニエンスストアは、私たちから預かった消費税12円を申告期限が来ると、そのまま税務署に持っていくというイメージになります。一方でコンビニエンスストアがおにぎりを購入した時に、仕入先に支払った8円の消費税は逆に預けたようなものになりますから、こちらについては申告期限が来ると税務署から返してもらえるということになります。


実務上は差額、この場合は12円―8円で4円をコンビニエンスストアは税務署に納めるというイメージになります。


しかしここでちょっと疑問な点があります。コンビニエンスストアは、仕入れ先に払った8円の消費税を税務署から返してもらえるのに、私たちはコンビニエンスストアに払った12円の消費税を税務署から返してもらってはいませんよね。なぜコンビニエンスストアは返してもらえるのに、私たちは返してもらえないのでしょうか?




(画像=写真AC)



消費税は「最後の一人」になると返してもらえない


ここでコンビニエンスストアと私たち一般消費者に大きな違いがあります。コンビニエンスストアは、私たちにおにぎりを売って12円の消費税を受け取ったのに対し、私たちは買ったおにぎりを食べてしまって、次の誰かから消費税を受け取っていないという点です。つまり消費税を次の誰かから受け取ることのできない「最後の一人」だけが、税務署から消費税を返してもらえないというのが消費税の仕組みです。


このようにコンビニエンスストアは、私たちにとってとても身近な存在ですが、同じようなことをやっている不動産会社があります。


それは中古マンション売買の会社です。


中古マンション売買は、中古マンションを仕入れて、マージン(利益)を上乗せして、別の誰かに転売するというビジネスです。


仮に1,000万円で中古マンションの建物を購入し、1,500万円で売却した場合下記のように消費税が発生します。


※実際に中古マンションの売買をする時は、土地や借地権などもついてくるものですが、そこを考慮すると複雑になってわかりにくくなるため「建物だけが売買されたもの」と仮定して進めて行きます。


中古マンション売買の会社は購入時に売主に「1,000万円×8%=80万円」の消費税を支払う


中古マンション売買の会社は売却時に買主から「1,500万円×8%=120万円」の消費税を受け取る


基本的な原理はコンビニエンスストアと同じですから、中古マンション売買の会社は買主から受け取った消費税120万円を税務署にそっくりそのまま持っていくと同時に、売主に支払った消費税80万円は税務署から返してもらえるということになります。実務上は差額の120万円-80万円=40万円を税務署に納めるということになります。



賃借人がいると消費税は返してもらえる?返してもらえない?


というように一見、単純な話のように思えるのですが、今、この中古マンション売買の会社は消費税を巡って税務当局と大きなトラブルを起こしています。


中古マンション売買の会社が、転売目的の中古マンションを売主から買ってきた時に、常に空室であるというわけではなく、既に賃借人が部屋に住んでいるケースも珍しくはないでしょう。


投資用マンションの場合はとくに多いはずです。そして賃貸派の方は特に詳しいでしょうが、家賃に消費税はかかりませんよね。例えば月額家賃が7万円だったとすると、消費税8%として「7万円×8%=5,600円」を上乗せして、大家さんに75,600円を払うかというとそんなことはありません。


7万円だけ支払えば良いのです。家というのは人が生きていくのに不可欠なものだから、特別に消費税を払わなくても良いというように国は配慮をしてくれているのです。そうすると中古マンション売買の会社から見た消費税は以下のようになります。


中古マンション売買の会社は購入時に売主に「1,000万円×8%=80万円」の消費税を支払う。

中古マンション売買の会社は賃貸時に、借主から消費税を受け取れない。

中古マンション売買の会社は売却時に借主から「1,500万円×8%=120万円」の消費税を受け取る。


そうすると少しややこしいことになります。つまり中古マンション売買の会社は「賃貸」のところに注目すると、次の誰かから消費税を受け取れない「最後の一人」になっています。


ここに焦点を当てると、購入時に支払った80万円の消費税は税務署から返してもらえないということになります。しかし売却時には消費税を受け取るわけですから、こちらに焦点をあてれば「最後の一人」にはなっていませんから、80万円は返してもらえるということになります。このような場合は一体どうなるのでしょうか?中古マンション売買の会社は80万円の消費税を税務署から返してもらえるのでしょうか?返してもらえないのでしょうか?



>>2ページ目:マンション買取再販会社が消費税に苦しめられる!?(続き)



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