皆さん、こんにちは!公認会計士・税理士・中小企業診断士の金井です!今回は第3回目のコラムになります!

 最近、急に北方領土問題がざわついていますね。北方領土と言えば、70年ちょっと前に、「ソ連」今で言うところの「ロシア」にとられてしまった北海道の4つの島のことですね。71年ぶりに戻ってくるかどうかはわかりませんが、この歴史から学ぶことは少なからずあります。「相続・事業承継」と「北方領土」というと、一見、何の共通項もなさそうなですが、意外な教訓が得られそうです。


なぜ北方領土はとられてしまったのか?

北方領土がとられてしまった経緯をちょっとだけ説明していきますね。第二次世界大戦の末期、日本はアメリカに徐々に追い詰められていました。頼りにしていたドイツも降伏してしまい、日本は世界中の大きな国のほとんど全てを敵に回して戦争している状態になっていました。ところがその中でたった一つだけ、戦争状態になかった大きな国があったのです。それがソ連、今のロシアだったのです。

実は日本とソ連は1か月しか戦争していない

何となく、ソ連は第二次世界大戦の敵国のイメージがありますが、日本とソ連が戦ったのは、終戦前後の1か月くらいです。それまでは全く戦争状態になかったのです。もちろんそんなに仲が良かったわけではなく、日本はアメリカと戦争するのが忙しく、ソ連はドイツと戦争するのが忙しくて、互いにいたずらに敵を増やしたくなかったという程度の話なのですが・・・。一応「日ソ中立条約」という「なんちゃって平和条約」があったこともあり、とにかく終戦ギリギリまで両者の間で戦争が行われることはなかったのです。

ソ連に人生相談に行った当時の日本政府

 

戦争が進むにつれて、日本に勝ち目がないことは、はっきりしてきました。これ以上傷口が広がる前に、アメリカと和解したいと思ったのでしょう。悩んだ末に当時の日本政府は、唯一、戦争状態になかった大国であるソ連に、アメリカとの和平仲介を頼みに行ったのです。どこかで聞いたようなセリフですが「大きな国だから信用できる」と思っちゃったのかもしれませんね。

相手の立場に立って考えれば、自分の味方かどうかはわかるはず

ところがどっこい「ヤルタ会談」というものが既に行われていて、ソ連はとっくの昔に日本を裏切って、アメリカと手を組んでいたのです。そして昭和20年8月8日、広島に原子爆弾が投下された日の2日後ですが、突然、南樺太、千島列島、北方領土などに攻めてきたのです。油断していた日本は、あっという間にこれらの領土をとられてしまいました。

しかしちょっと考えればわかることですが、誰があの局面で「負け組」の日本の味方をするでしょうか?誰だって「勝ち馬」のアメリカに乗りたいと思うでしょう。ソ連の立場に立って、ちょっと頭をひねればすぐにわかりそうなものです。つまりソ連はどう考えたって、アメリカに味方するのが有利ですから、そちらに行くというのは当然と言えば当然のことです。

金融機関はハウスメーカーの紹介する税理士法人や会計事務所は、誰の味方だろうか?

さてこれを「相続・事業承継」の話に置き換えてみましょう。富裕層の方の中には、頼んでもいないのに、金融機関やハウスメーカーなどから「資産税に強い」(と自称する)税理士法人や会計事務所などを紹介された経験のある人もいるのではないでしょうか。調べてみると、税理士や従業員の数も結構多くて、そこそこ規模もありそうです。何より「大きな会社の紹介だから大丈夫」ですか?ちょっと待ってください。そこに相談するって、昔の日本政府と同じ間違いを犯そうとしているのではないですか?


その税理士法人や会計事務所の立場にたって、ちょっと考えてみましょう。その税理士法人や会計事務所は、あなた以外にも、あちらこちらで同じように金融機関やハウスメーカーから富裕層の紹介を受けているだろうということにまずは頭を働かせましょう。これは、その税理士法人や会計事務所は、あなたのような富裕層を金融機関やハウスメーカーから定期的に紹介を受けることで仕事をとっているということを意味しています。そう考えた場合、その税理士法人や会計事務所にとって一番重要なことは何でしょうか?こうやって相手の立場に立って良く考えることが「生きる力」です。


彼らにとって最も重要なことはズバリ「金融機関やハウスメーカーから、次もその次もあなたのような富裕層の紹介を受けること」です。もし紹介を受けられなくなったら仕事がなくなって、自分達が雇っている税理士や従業員の給与すら払えなくなってしまいますから、紹介を今後も受けられるかどうかは死活問題なんです。そんな立場にある彼らは誰の味方でしょうか?仮にあなたが「借金をしてアパートを建てるのはどう思うか?」と聞いたら、その税理士法人や会計事務所は何と答えると思いますか?「相続税が節税になるから、借りましょう!建てましょう!皆やっていますよ!!」に決まっていますよね。つまり彼らは最初から100%、金融機関やハウスメーカーの側であって富裕層の味方ではないのです。だから金融機関やハウスメーカーの営業を後押しするように、あなたがお金を借りたりアパートを建てたくなるような真実を一緒になって大声で繰り返し連呼してくるということになります。逆にあなたの立場にたった本当のアドバイス、例えば「今、人口減少とアパートの供給過剰で空室率が上がっています。建築費も高騰していますから、アパートを建てるのはもう少し待ってから再検討しましょう」などというようなことは間違っても言わないでしょう。そんなことしたら、銀行やハウスメーカーの営業活動を邪魔していますから、二度と富裕層の紹介を受けられなくなって、困っちゃいますもんね。つまり金融機関やハウスメーカーの紹介してくる税理士法人や会計事務所に相談するというのは、自分の味方ではない相手に相談するということですから、大昔にソ連に相談に行った、当時の日本政府と同じようなものなのです。


知識や能力も大事ですが、何より最優先されるのは目の前の相手が「敵なのか」「味方なのか」ということです。優れた成功者は、いつもこの点に着目しています。ここを間違うと、大切なものを失って、将来に大きな禍根を残すことにもなりかねません。

 
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