税理士の川名です。
2月というのは、本当に税理士の最多繁忙期で忙しくあるものの、所得税の申告書はこの時期NIしか作らないので、年に1度のイベントのような趣もあります。
特に所得税というものは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、山林所得、退職所得、譲渡所得、一時所得、雑所得の10種類の所得区分に応じて複雑な計算方法があります。
その中でも登場することが少ないのですが、条件を満たせば税率が低くなる「平均課税」について考える機会がありましたのでご紹介いたします。

平均課税制度というものは、変動所得・臨時所得について所得税・住民税を軽減させる制度です。
収入の変動が多い・激しい事業について、所得税・住民税を軽減させる制度で、超過累進税率より低い税率となります。
ここで、「変動所得・臨時所得」とは何かと疑問があると思いますが、前述した10種類の所得に「変動所得・臨時所得」という名称の所得はありません。
変動所得とは、主に漁獲や養殖により生ずる所得、原稿や作曲の報酬などです。
臨時所得とは、3年以上の契約等がある場合に一時に受ける収入で、年額の2倍以上のものをいい、プロ野球選手の契約金や不動産貸付に係る収入が該当します。

ここで、不動産貸付に係る部分に関しては、意外に「平均課税」を使える場合も出てきます。

代表的なのは、①借地権の設定(譲渡所得除く) ②名義書換料や更新料などとなります。

特に更新料などを多額に受け取った場合には、平均課税の適用を考えてみてください。

①借地権の設定については、まず第1に譲渡所得に該当しないかの確認が必要です。

借地権の対価として受け取った権利金が、土地の時価の2分の1未満であれば、譲渡所得とはならず平均課税適用の可能性があります。

②不動産の貸付に関して一時に受け取る権利金、名義書換料、更新料などは、貸付の期間に応じて収入計上するわけでなく、全額がその年分の収入金額となります。平均課税の適用できる可能性があるわけです。

平均課税の適用には条件があります。

(1)変動所得が増加しているとき

   本年度変動所得 > (前年度変動所得+前々年度変動所得)×1/2

   ※前年度変動所得と前々年度の変動所得は通算可

   本年度の(変動所得+臨時所得)≧ 総所得金額×20% →平均課税適用あり

   ※変動所得が赤字の場合、臨時所得は通算不可となり、臨時所得のみで判定することとなる。

(2)変動所得が増加していないとき

   本年度変動所得 ≦ (前年度変動所得+前々年度変動所得)×1/2

   ※前年度変動所得と前々年度の変動所得は通算可

   本年度の 臨時所得 ≧ 総所得金額×20% →平均課税適用あり

細かな条件がありますが、確定申告の添付資料として、「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」を提出することとなりますが、

平均課税の条件のチェックに使用できますので、ご紹介しておきます。

http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/1557_2.htm

 
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