よくある話しかもしれませんが、離婚した時に夫から妻へ財産分与をすることがあるかと思います。

でも・・・ 思わぬところで税金が発生することがあります。渡した側(夫側)で・・・

今回は、こんな話しをしていきます。

世の男性諸君、気を付けてくださいね!

■民法(財産分与)

第七百六十八条  協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
  前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
  前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。
第1項:請求権が規定されています。
第2項:2年Maxと規定されています。
第3項:清算的要素を前提とした財産分与が規定されています。


■相続税法基本通達9-8 (婚姻の取消し又は離婚により財産の取得があった場合)

9-8 婚姻の取消し又は離婚による財産の分与によって取得した財産(民法第768条((財産分与))、第771条((協議上の離婚の規定の準用))及び第749条((離婚の規定の準用))参照)については、贈与により取得した財産とはならないのであるから留意する。ただし、その分与に係る財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮してもなお過当であると認められる場合における当該過当である部分又は離婚を手段として贈与税若しくは相続税のほ脱を図ると認められる場合における当該離婚により取得した財産の価額は、贈与によって取得した財産となるのであるから留意する。(昭57直資2-177、平17課資2-4改正)

つまり、もらう側(妻側)では贈与税は課税されないことになります。
奥様ご安心ください!
夫婦の財産関係の清算、生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受けたものだから
  ↓ もちろん・・・
子供の養育費をもらっても贈与税がかかることは基本的にはありません!
  ↓ ただし・・・
次の場合には、贈与税や所得税がかかる可能性がありますのでご注意ください!
(所基通33-1の4)
① あまりにも渡す財産が多い場合
→ 多すぎる部分に対し、もらった側にもらった側に贈与税がかかる可能性があります。
② 相続税や贈与税を免れるために、形式離婚する場合
→ もらった側に贈与税がかかる可能性があります。
③ 土地、建物を渡す場合
→ 渡した側に譲渡税がかかる可能性があります。
  ↓ つまり・・・
離婚によって、社会通念上、問題ない程度のお金を渡すのであれば税金がかかることはありませんが
土地、建物を渡すと渡した側に税金(所得税・住民税)がかかる可能性がありますので、注意が必要です!
前提
夫が原因で協議離婚が成立した夫婦間で、
婚姻後形成した財産の半分(3,500万円)を財産分与することが決定した。
ケーススタディ①
夫の現金3,500万円を妻へ財産分与した。
もらう側(妻側):贈与税なし
渡す側(夫側) :譲渡税なし
         現金3,500万円は、どこまでいっても現金3,500万円のまま。
         つまり、含み益という概念はない。
ケーススタディ②
夫の自宅(価値3,500万円:親が先祖代々相続している土地に建物建築)を妻へ財産分与した。
土地:時価3,000万円 、取得費不明のため概算取得費150万円(=3,000万円×5%)
建物:時価500万円=簿価 

もらう側(妻側):贈与税なし
渡す側(夫側) :譲渡税あり
        (3,000万円-150万円)×20%(長期)=570万円
 
   ↓ では・・・
解決策
居住用財産を売却した場合の3,000万円控除 を適用しましょう。
ポイント:離婚成立後に自宅を財産分与する!
この特例は「他人(第三者)」にマイホームを売却することを前提に許される特例です。
夫婦でいる場合には、他人ではなく配偶者ですので、特例の適用は受けられません。
   ↓ したがって・・・
他人になった後(つまり、離婚が成立した後)に渡すことで特例適用の余地が生じます。
■適用にあたっての留意点
この特例には、その他の要件もありますので、要件を満たせるかを慎重に検討してください。
また、この特例はあくまで「マイホーム」を売却することを前提とした特例ですので、
マイホーム以外(アパート、マンションなどの収益物件)を財産分与する場合には、
そもそも入口に入れませんので、ご注意ください。

■その他の留意点
含み益のある財産を分与する場合には、同じようなリスクが生じますので、
例えば、含み益のある有価証券(株式、投資信託など)を財産分与する場合も気を付けてください。
 
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