小林悟 生産緑地プロフェッショナルへの道

「生産緑地の2022年問題」は不動産業界にとどまらず、一般報道でも話題になっています。なかには「生産緑地の2022年問題」で、不動産価格が大暴落する!といった事実なら不動産ビジネスに大きな影響があるような報じ方をするメディアもあります。
いずれにせよ
生産緑地の2022年問題を意識することは重要なことです。
そこで、農地や生産緑地のコンサルティングをてがける、スマート・ホーム 小林悟代表に生産緑地の解説や事例の紹介していただきます。生産緑地の2022年問題を知り、生産緑地について一歩づつ理解することで、生産緑地のプロフェッショナルに近づきましょう。

第1歩目は、「生産緑地問題」とは、そもそもどういったことなのかについて解説いただきました。(リビンマガジンBiz編集部)


(画像=足成)

皆さんは、そもそも生産緑地がどういうものか知っていますか?

言葉を聞いたことがある方は多いですが、詳しいことまでは知らない方もおられると思いますので入門編的なところから解説します。

生産緑地とは

生産緑地法という法律に基づいて、三大都市圏の特定の市や区が、都市計画により生産緑地地区の指定をした農地のことを生産緑地地区といい、通称は「生産緑地」と呼びます。読みやすいように今回の連載では、通称の生産緑地で統一します。

平成3年の税法改正により、都市部にある農地は保全すべき農地と宅地化すべき農地に区分することになりました。同時期に生産緑地法も改正され、平成4年4月に改正生産緑地法が施行されました。上記の農地の区分をきっかけに農業経営を継続することを選択した保全すべき農地は、平成4年4月に一斉に生産緑地の指定を受けました。

生産緑地は、行政が勝手に地区指定するわけではありません。農地所有者が行政の都市計画課等に申請し、都市計画課等が指定妥当と判断してやっと生産緑地の地区指定が完了します。各市区町村により、新規では生産緑地の申請を受け付けていなかったり、年度初めのみといった期間限定でしか申請を受け付けていなかったりしますので注意してください。

パッと見では、生産緑地とそれ以外の農地ではどちらも都市部にある農地であって違いはありません。しかし、生産緑地に指定されている農地をよくよく観察すると「生産緑地地区 〇〇市」という杭や看板が必ず設置されています。

【生産緑地の特徴】

・三大都市圏の市街化区域内に立地していて生産緑地の指定を受けている農地
・面積は500㎡以上(平成29年に法改正され、地域の条例により300㎡以上でも可能となる)
・今ある生産緑地の約8割が平成4年に指定されている

【生産緑地のメリット】

・固定資産税・都市計画税が農地と同等の課税なため、非常に安い金額となる
・相続税の納税猶予の特例(以後の連載で説明します)が利用可能となり相続税がほどんどかからない

【生産緑地のデメリット】

・生産緑地指定の日から30年間、もしくは主な農業従事者が死亡まで農業を継続する義務がある
・指定から30年間は宅地への転用・賃貸・建築・造成などをすることができない
・指定から30年経過、又は、主な農業従事者の死亡又は身体的に農業を継続することができないと認められる場合に限り生産緑地指定の解除が可能。簡単には解除できない
・指定を解除するには買取申し出という制度を利用しなければならず、申し出から解除までは約3カ月間かかる
・指定を解除しないと第三者に売却できない

生産緑地はどの地域にあるのか、その面積はどれ位あるのか


生産緑地は、三大都市圏内の特定市区町村の市街化区域内にしか存在しません。つまり、立地条件としては三大都市圏の主要な都市部に限定されます。

三大都市圏以外の北海道、東北、中国、四国などには生産緑地は存在しません。また、北陸や九州もゼロに近い状況です。

生産緑地がある具体的な都道府県名は下記の表を参考にしてください。都市名は多すぎて記載しきれませんので、該当しそうな場合は、ご自分で市や区の都市計画課等にお問合せください。
では、生産緑地は、どれ位の面積があるのでしょうか。
東京都内だけで3,296.4ヘクタール(約997万坪!)の生産緑地があり、東京ドーム701個分に相当します。

首都圏には7,737.7ヘクタール(約2,340万坪!)あり、東京ドーム1646個分です。首都圏の生産緑地の面積の4割以上が東京都内にあります。

中部圏には1,588.2ヘクタール(約480万坪!)あり、近畿圏には4,111.8ヘクタール(約1,243万坪!)あります。

以上の通り、三大都市圏内には広大な生産緑地が存在します。想像しているより面積が広くて驚いた方もおられるのではないでしょうか。

生産緑地の問題点を考えてみる


これまでの説明で生産緑地がどういうものか、どの地域にどれ位の面積があり、その特徴を確認しました。生産緑地の概要を把握した上で、不動産業界やご自身の仕事内容にとってなにが問題なのか。また、どうビジネスに活かすか。についても一緒に考えていきましょう。

生産緑地について、「売りたい」「買いたい」「有効活用して賃貸マンションを建てたい」「駐車場にしたい」など、様々な相談を受ける機会があると思います。

残念ですが、生産緑地の指定を解除しないとどの相談にも対応することができません。これは、不動産業者にとって頭の痛い問題です。生産緑地の解除はすぐにできませんので、時間をかけて相談に乗る必要があります。

今から考えておくべき問題

・都市部の広大な農地が宅地化されると不動産業にどんな影響があるか?
・生産緑地をビジネスに活かす際に、どんなメリット・デメリットがあるか?
・生産緑地の所有者向けにどんな提案やアドバイスが有効か?

次回以降では、生産緑地の問題点の解説やビジネスに活かせる提案を取り上げます。生産緑地の2022年問題について、正しい知識をつけましょう。

 
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