皆さん、こんにちは、日本不動産研究所の幸田 仁です。

本日は、といっても、日付がかわりますが、2月26日ですね。

といば、2・26事件(昭和11年)が約80年前に起こった日でもあります。

日本が大きな決断を迫られる契機ともなった陸軍青年将校の反乱ではありましたが、当時の世界情勢や、日本経済を思うと、やはり考えさせられる事件だったと思います。

■国会でも話題となっている豊中市の国有地売却問題?

 

 さて、現在国会でも大変な話題となっている、「森友学園」に対する国有地の売却問題です。

安く売ったとか、産廃処分費がどうだとか、いろいろと数字の争いが続いていますね。

 不動産鑑定評価額は不動産鑑定士が評価した価格ですが、この価格に比べて安く売却したことと、その理由が争点になっているということになります。 確かに安倍首相の夫人や安倍首相の名前を学校名につけるという問題もあるようですが、今回は「国有地の売却」がどうしてそんなに問題になるのか?ということを少しお話しします。

■国有地は誰の持ち物か?

 国有地や自治体が保有している土地は、確かに「〇〇省」や「〇〇市」が所有しています。

 であれば、それほど「価格が適正かどうか」に目くじらをたてなくても良いのでは?と思っている方もいらっしゃると思います。

 しかし、ここで少し考える必要があります。以下の図を見てください。

■土地の処分は誰が決めるのか?

 上の図ですが、国や自治体の土地は、もちろん、国や自治体のお金をつかって維持管理や処分をしています。

 しかし、その維持管理の方法や処分を勝手にできるわけではないのです。

 まず、一つ目に、処分を決める人は誰か?という問題ですね。

 もちろん、省庁や役所が具体的な土地の処分などの事務手続きを行いますが、きちんと決断する人は、政府(大臣)や首長(知事や市長)や議会なのです。

 では、この議会の議員(国会議員、地方議員)や大臣は誰が選ぶのか?もちろん選挙で国民に選ばれます。

■お金は?

 次に、お金ですね。これは国民や市民が納税した税金です。もちろん、財産だって、〇〇省のもの、ということは、売ったり買ったりすることも間接的には国民に選ばれた大臣や議会にお伺いを立てるわけですね。ただ、全部をお伺いを立てることはできないので、具体的な手続きは役所の長に責任をもって、お願いしているのです。

■価格は?

 そこで、問題ですが、国や自治体が保有する土地を、特定の企業や個人にすごく安く売ったらどう思いますか?

 これは国民の財産を、特定の人に安く売ってしまうことになります。

 その時損をするのは、役所でもありますが結果的には納税している国民や市民となります。

 ですから、そうならないように、適正な価格(具体的には不動産鑑定評価額など)で売却するということになるわけです。

■炎上しちゃったのは?

 ですから、適正な価格と明朗・確実な手続きを得て、国や自治体は不動産を処分したり、貸したりしなければならないのですね。

 民間企業や個人ではそれほど目くじらを立てないことでも、国や自治体はこのような責任を負っているわけです。

そういった視点でこの問題を考えると、理解が進むかも知れません。

 

 
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