>>前半部分はこちら

この数年で価格が急騰したマンションはリスクが高い

都心近郊の新築マンションは2013年以降価格が上がり続けました。一方、住宅は供給過多の状態が続いていると言われています。これから人口減少に向かう中、多くのマンションの価格が下がることが懸念されます。特に新築で購入すると、中古以上に価格の下落が懸念されます。いくら低金利であるとはいえ、今、フルローンで購入し、10年後に売却しようと考えた場合、その時のローン残債よりも安い価格でしか売却できないリスクを考慮しないわけにはいきません。

マンションの管理不全リスク

「マンションは管理を買え」と言われます。管理組合がどのように運営され、その結果どのように建物の資産価値が維持されていくかが重要になります。

冒頭で取り上げた日経新聞の記事では、マンションの修繕積立金が不足する懸念があることに警鐘を鳴らしています。マンションの住民は同じ建物に住む共同体として管理組合を形成します。しかしながら、そこに住む人たちにはそれぞれに別の事情を抱えています。

居住している人だけでなく、中には投資用として購入している人もいるでしょう。新築時には比較的近い年齢層の人が多かったとしても20年、30年経つうちに住む人たちの年齢もばらついていくでしょう。所有者それぞれの考え方は違って当然です。同じ建物に住んでいても30~40代の人と70代以上の人とでは価値観が大きく異なると思います。

もし、大規模修繕を行うべき時期に修繕積立金が不足していることがわかった場合、

・修繕積立金の不足分を一時金として徴収する

・本来行うべき修繕を先延ばしする

・不足分を借入れで賄う

などの方法がありえます。

大規模修繕を行うには管理組合での決議が必要です。修繕の内容や管理組合の規約により、必要な議決権の割合は異なりますが、過半数あるいは3/4以上の賛成が必要になります。特にタワーマンションのように1棟で数百戸の権利者がいる場合、合意形成は非常に困難でしょう。仮に管理組合で反対した人も、修繕費の一時金徴収や、毎月の積立額の値上げが決議された場合、払わないわけにはいきません。年金収入だけで生活しているような高齢者の世帯では、想定外の支出に対応できない恐れもあります。

戸建ての場合は自己責任

戸建て住宅の場合、建物の維持管理は計画から実行まで全て自分でやらなければなりません。修繕に必要な費用を計画的に蓄え、必要な時期に必要な修繕を行えば建物の寿命を延ばすことにつながります。マンションでは管理組合を中心に長期修繕計画を考えてくれるかもしれませんが、戸建ての場合は自己責任。その意思決定もご自身、ご家族だけで決められます。

今は考えていなくても…

将来、配偶者も亡くなってしまいおひとりになったら自宅を売却して高齢者施設に入居するかもしれません。思いもよらず長生きして老後の生活費が不安になり、生活費確保のために自宅の売却を考えるかもしれません。最近は核家族化が進行していますが、将来、息子夫婦、娘夫婦と同居したいと考え二世帯住宅に買い替えたり、建替えたりするかもしれません。

そんなときにも、自分が保有している不動産の価値が将来どうなるのかは気になります。

自分が90歳を過ぎてから住んでいるマンションの建て替えが決議される、ということもあるかもしれません。

まとめ

改めて、マイホームを購入するときに手放すときのこと、すなわち出口戦略を考える方は少ないでしょう。しかしながら、人生100年時代では売却、住み替えが必要になるケースも起こりえます。

戸建てとマンションのどちらが良いかは一概には言えません。しかし、長期にわたる資産価値を考えた場合、戸建て住宅にはマンションにないメリットがあることも事実です。

マンションか戸建てかで悩まれているお客様に、お客様の家族とその将来まで考えたお話ができれば一目置いていただけるのではないでしょうか。

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ