7月19日は脚本家「宮藤官九郎の生まれた日」だ。

脚本家で、俳優や映画監督、ミュージシャンなどマルチな才能を発揮する宮藤官九郎は1970年の今日、宮城県に生まれた。

ラジオのヘビーリスナーで、放送作家の高田文夫に憧れ、高校卒業後は高田の母校である日本大学芸術学部放送学科に進学する。

在学中に松尾スズキが主宰する「大人計画」の公演を見て、演劇に目覚めた。

大人計画入団後は俳優として舞台に立っていたが、転機となったのは松尾スズキに依頼が来たテレビドラマの脚本依頼だ。

共同脚本として名を連ね、そこからドラマの脚本依頼が来るようになる。

連続テレビドラマ初の脚本は、「池袋ウエストゲートパーク」で、これが大ヒットし人気脚本家として注目される。クドカンの愛称が定着したのもこの頃からだ。

宮藤の作品はコメディ要素が含まれた青春群像劇が多く、音楽や漫画などサブカルを多く取り入れており、間髪入れずに小ボケを挟み込んでくる作風として知られる。

主人公だけで無く脇役にも強烈なキャラを配置し、家族愛を描くホームドラマも多い。


家族団らんの絵 (画像=ぱくたそ)

活躍の場は民放だけにとどまらず、大御所脚本家だけが許されるNHKの朝ドラにも進出。大人気になった「あまちゃん」では、これまで朝ドラになじみが薄かった若者世代にもファンが増殖した。

さてそのクドカンだが、朝ドラを手がけるまえに昼ドラでも隠れた傑作を生み出している。

中学時代にファンだったと公言している斉藤由貴を主演に据えた宮藤官九郎初の昼ドラ作品『吾輩は主婦である』だ。

サザエさんや寺内貫太郎一家のような、居間に食卓のあるホームコメディで、斉藤由貴演じる主婦の体に文豪・夏目漱石の魂が宿るといった奇想天外なストーリーだ。

伝統のTBS昼ドラ枠である『愛の劇場』で放送され、家族愛・子供の成長というパッケージを踏襲しながらもクドカン流を全開に出した作品だった。

姑がはまっている韓流スターの名前がペ・ヤングンだとか、劇中のミュージカルで歌われる曲は「その日暮らしのモンナシーヌ」など爆笑の小ボケが満載だった。

当初は、昼ドラに宮藤官九郎作品が合うのか心配されたが、飽きられることなく主婦層にも受け入れられた。当時の宮藤作品は若者向きというレッテルを貼られていたが、2006年に手がけたこのドラマがそこから脱却する作品になった。

宮藤の活躍はますます広がっており、2019年の大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』の脚本を担当する。

大河ドラマでは33年ぶりの近現代だ。

宮藤官九郎が得意とするテンポの良い掛け合いや小ネタを入れやすい題材だろう。

今までの歴史譚が多かった大河ドラマに風穴を開けてくれるに違いない。

敬称略

 
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