7月23日は「天ぷらの日」だ。

一年で暑さが最も激しくなる大暑の日(7月23日ごろ)を「天ぷらの日」としている。

様々な食材を使う天ぷらは疲労回復に適しており、夏バテを防止するという意味も込められているそうだ。


天ぷらの盛り合わせ (画像=GAHAG)

天ぷらは、蕎麦、寿司と合わせて「江戸の三昧」と呼ばれ、東京の郷土料理となっている。

有名な話だが、天ぷらは日本発祥ではなく、安土桃山時代にポルトガルから伝わった。

鉄砲が伝来したのと同時期である。

「天ぷら」という言葉も、ポルトガル語で調味料を意味する「テンプロ」が由来になっているという。

しかし、油が貴重だった安土桃山時代で、揚げ物料理は滅多に振る舞われなかった。

「天ぷら」という言葉が文献に登場したのは、菜種油の生産が増えていった江戸時代のことである。

それまでも、衣で包んで揚げた食べ物はあったが、天ぷらという名称ではなかった。

1669年の『料理食道記』に「てんふら」という記述があり、これが初出とされている。

これから、江戸時代の料理本に「てんふら」が頻出してくるようになる。

東京天ぷら料理会のHPに詳しい。

幕末になると、庶民の味だった天ぷらが、お店でも出されるようになり、江戸だけでなく全国に広まっていく。そして、料亭などでも振る舞われ、一気に高級品というイメージが付いた。

今でも、料亭や旅館では天ぷらが出される。

一般家庭でも提供される揚げ物料理だが、日清オイリオの調査では、揚げ物を「ほとんどしない」人が、

1997年の6%から2009年には30%に増加し、調理頻度が減少しているという。

マイナビが行った「家庭料理だけど作るのが難しい料理」の調査でも2位に上がっている。

「油の処理が大変」「片付けがめんどう」「洗い物が大変」という声が多数あがる揚げ物料理だ。

しかし、家計調査での「揚げ物」の項目では、消費量は減っておらず、むしろ上がっている。

お惣菜で購入する人が増えたのだろうか。

共働きが増えている昨今、時間と手間のかかる揚げ物料理は敬遠される傾向にある。

しかし、男性の多くが好きな料理として挙げるのも揚げ物料理だ。

高級店のカウンターで食べる天ぷらは美味しいが、山盛りになった家庭の天ぷらも味わい深い。

家庭からは遠ざかりつつある「天ぷら」。

復権を願う。

 
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