5月21日は、「日本で裁判員制度が開始された日」だ。

「裁判員制度」とは、刑事裁判に市民が参加する制度のこと。裁判官と共に、複数の市民が被告の罪の有無、有罪の場合は刑罰を決めるものだ。このような制度は全世界で80以上の国や地域で取り入れられている。G8参加国でも、アメリカ、イギリス、カナダ、ロシアでは「陪審制度」と呼ばれる制度が導入され、フランス、ドイツ、イタリアにおいては「参審制度」という形で市民が刑事裁判に参加している。

東京都千代田区・最高裁判所入り口 (画像=リビンマガジン Biz編集部撮影)

日本で裁判員制度が施行されたのは、2009年5月21日で、施行日以降に起きた事件が裁判員裁判の対象となった。初の裁判員裁判が実施されたのは、同年の8月3日。足立区の隣人殺人事件が対象となり、6人の裁判員が審理を行った。

一方で、2011年に千葉地裁で行われた覚醒剤密輸事件の上告審判決では、裁判員裁判が憲法で認められていないという主張が弁護側からあった。最高裁は、重要な判断をする場合に開かれる大法廷を開き、裁判員の参加は「良識ある結論に達することが十分期待できる」として制度は合憲となった。

東京都千代田区・最高裁判所建物 (画像=リビンマガジンBiz Biz編集部撮影)

このように、合憲性を問われたこともある裁判員制度だが、裁判員裁判は、最高裁ではおこなわれるものではなく、全国に50箇所ある地方裁判所でおこなわれる。殺人罪や強盗致死傷罪など、一定の重大な犯罪を犯した刑事事件が対象となる。

制度開始から9年経ついま、最高裁判所のデータによると、裁判員候補者数は累計266万人にもおよぶ。そのうち、8万人以上の市民が裁判員・補充裁判員として、刑事裁判の判決に関わっている。守秘義務の問題などから、裁判員経験者の情報共有が充実せず、裁判員候補に選ばれても辞退や欠席が増えているという問題もある。

裁判員裁判での死刑判決 初の執行はアパート大家など3人殺し

また死刑判決など重い量刑を出すことへの裁判員の心理的負担など、検証が必要なことも多い。

2015年12月には2009年にアパート大家など3人を刺殺した死刑囚の刑が執行された。これが、裁判員による判決で初の死刑執行となった。死刑囚は住んでいたアパートにおいて、隣人のドア開閉音や洗濯機の音に腹をたてており、トラブルに発展、殺人に至ったという。

この裁判で裁判員を務めた男性は大きなストレスを感じたことを一部マスコミに答えている。制度について今一度、考えるべき機運は高まっている。

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ