(画像=リビンマガジン Biz編集部撮影)

1867年9月14日は、カール・マルクスの著書「資本論」の第1巻初版が刊行された日だ。カール・マルクスは、ドイツのプロイセン王国生まれの思想家であり、経済学者、哲学者でもある。

マルクスといえば、「マルクス主義」という言葉を聞いたことがあるだろう。これは、マルクスがフリードリヒ・エンゲルスとともに展開し、確立した社会主義思想体系のことだ。

一方、全3巻で構成される「資本論」は、資本主義的生産様式や剰余価値の生成過程、資本の運動諸法則を明らかにしたものだ。第1部が刊行された後も、マルクスは推敲を重ね、ようやく自身が納得できる版となったのが、1872年のフランス語版が出版されたときのことだった。

資本の生産過程についての研究がまとめられた第1巻の改訂が重なったことから、作業は大幅に遅れた。その後、マルクスは1883年に死去。残りの第2,3巻の刊行はマルクスの死後、エンゲルスによって未整理の遺稿がまとめられ刊行された。

この「資本論」は資本主義経済では、資本家に富が集中してしまい、労働者は貧困に苦しむという格差的な社会構造が生まれる原因を解明ようと試みた。多くの人に影響を与え、社会主義運動や共産主義運動に発展していった。

格差社会で生き抜くための資本

マルクスは、資本主義社会で生まれる格差に問題を感じ、生涯を格差解消のための理論確立に費やした。

競争が労働者への負担を増大し、貧困が生まれる。しかし、歴史を振り返ってみるとわかるように、競争のない社会主義は、あまりうまくいかないものだ。現在、身の回りにあるさまざまな製品の技術が進歩したのも、資本主義の競争があったからにほかならない。

一方で、かつては「一億総中流」といわれていた日本でも、格差が大きな問題となっている。競争と発展、格差と平等の問題は現在進行形のテーマである。

ここ数年、不動産投資がブームだ。土地を購入し、安定収入を得るために不動産の運用を試みている方も多い。資本論では、「生産の3要素(土地、資本、労働の)」として、土地を位置付け、地主の財産の源泉は、剰余価値の搾取であるとして非難している。

一方で、不動産投資を試みて失敗する人も多い。なかには、不完全な情報や、いいかげんな経営計画におどらされた人も多い。

今まさに、改めてマルクスの「資本論」を見直しながら、時代の流れにあった生き抜き方を考える必要がありそうだ。

(敬称略)

 
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