不動産の有効利用といえば、何を想像されますか。アパート建設、ロードサイド店舗、こうした不動産活用は多額の資金を必要とすることから、「とりあえず駐車場」と考える方も多いはずです。駐車場経営にはさまざまなパターンがあり、賃貸借の形態や利用状況のほか、構築物の有無で税負担に大きな差が生じます。それを知らなければ、予想外の税負担に悩まされることになりかねません。駐車場経営をめぐる税について見てきましょう。

 もっとも簡単な駐車場経営といえば、いわゆる青空駐車場です。更地に砂利を敷いたり、アスファルトで舗装するだけで固定資産税の負担は増えます。登記簿ではその土地が田や畑であっても、固定資産税の課税上の地目は雑種地となります。つまり、農地や住宅用地としての課税の軽減を受けることが出来なくなるのです。さらに、砂利やアスファルトは構築物とみなされ、償却資産税の対象となることから、償却資産税が課されることもあります。駐車場というだけで税負担が増えることに注意が必要です。 相続税の評価では、さらに細かな規定が設けられています。土地のオーナー自らが月極の駐車場を経営している場合には、設備の規模や契約期間に関係なくすべて自用地として評価されます。しかし、土地を第三者に賃貸し、賃借人が駐車場経営を行うケースにおいて、土地の使用者の負担で駐車場設備の敷設を行うケースでは土地の賃貸借とみなされ、自用地ではなく、賃借権の価値を控除した金額で評価されることとなるのです。最近、街で見かけるコインパーキング、実は相続税対策もかねていたというわけです。

 もう少し突っ込んだ話をすると、アスファルトなどの構築物があれば、貸付事業用宅地等として、200平方メートルまでの部分の相続税評価額が50%に減額されます。また、砂利やアスファルトは構築物であり、耐用年数の期間にわたり減価償却により費用計上されます。もし、何も敷設されていない青空駐車場であれば、こうした特例を受けることは出来ず、重い相続税負担がのしかかることになります。

 コインパーキングがあちこちで増殖したのにはこうした事情があるのです。アスファルト等の構築物がある駐車場は小規模宅地等の特例が適用され、大きな相続税の節税効果があることは、知っておいて損が無いかも知れません。

 
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