「成長著しいアジア諸国で不動産投資を行いませんか。」将来の不動産価格の上昇が見込めるだけでなく、節税にもなるとの触れ込みで海外の不動産を購入することがブームになりました。富裕層の多くの人たちが海外の不動産を購入しました。しかし、相続税・贈与税において国外財産に対する課税緩和と強化が行われたことから、海外不動産への投資については注意が必要です。

 課税が緩和されたのは、日本国籍を持たずに日本に居住している人たちです。ビジネスマンやプロスポーツ選手、研究者などを想像していただけるとわかりやすいでしょう。こうした人たちが日本に居住している間に亡くなれば、日本国内の財産は勿論、海外の財産にも相続税が課税されていました。米国の自宅に住むっかぞくが米国の自宅を相続すれば日本の相続税がかかることになるのです。これでは海外の資産家は日本に行きたいとは思わないでしょう。そこで、被相続人・相続人が在留資格を持って日本に一時滞在している場合は日本国内財産にだけ日本の相続税を課税することと課税が緩和されました。

 問題は課税が強化された部分です。海外移住による租税回避への対策が講じられたのです。従来は親子ともども5年を超えて海外に居住していれば、海外の財産について贈与を受けたり、相続した場合、日本の贈与税・相続税はかかりませんでした。このルールを利用して親子で海外に転居し5年が経過した後に海外資産を無税で贈与する富裕層が後を絶たなかったのです。その対応として、「5年ルール」が「10年ルール」に改められることとなりました。贈与者(被相続人)・受贈者(相続人)がともに10年を超えて海外に居住しているはこれまで通り海外財産に贈与税・相続税はかかりませんが、10年以下というケースでは注意が必要です。

 また、外国で出生して日本国籍を取得しなかった子供を海外に住まわせ、そして親が海外に一時的に転居したうえで海外財産を贈与すれば、従来は海外財産に日本の贈与税はかかりませんでした。しかし、これも変更が行われ、贈与者(被相続人)が過去10年以内に日本に居住していた場合は、海外財産も課税対象となります。

 このように海外不動産を購入し相続税や贈与税を回避するという租税回避スキームは難しくなっています。海外不動産で節税といううたい文句には注意が必要です。

 
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