サラリーマン、いわゆる給与所得がありながら、不動産投資を行っておられる方がたくさんおられます。区分所有マンションであれば、比較的少ない投資で始めることが可能であり、「節税しませんか」というセールストークが頻繁に用いられています。不動産所得のマイナスを給与所得と合算することで、源泉徴収された税金を取り返せるという理屈です。実は、私自信も払いすぎた税金を取り返そうとマンションを購入し、不動産投資を始めた一人です。
 源泉徴収票と物件の収益シミュレーションをにらめっこし、どれだけの収益が見込めるか、どんなリスクが考えられるか、自分でも様々な検討を行いました。勿論、マンション業者もどれだけの節税効果が見込めるのかをシミュレーションしてくれます。「案外たくさんの税金を取り戻すことが出来るな。」というのが率直な感想でした。
 最初の確定申告を行い、実際に税金が還付されたときには、思わず笑顔がこぼれました。そして、二年目。税金が還付されるどころか、むしろ余計に税金を払わなければならない事態となりました。なぜ、そんなことになったのか。利益が出過ぎてしまったのです。マンション業者が税金の還付額を計算してくれたのはあくまで、投資を行った初年度だけの計算でした。初年度には登記の費用など、二年目以降には発生しない経費がたくさん発生します。タダでさえ、出費も多いことに加え、1年分まるまる家賃が入ってくるわけではありません。私の場合は年後半から賃料が入ってきたので、とりわけ不動産収入のマイナスが大きかったのです。
 物件の選択には念には念を入れ、最高の物件を手に入れることが出来ました。むしろ想定以上の賃料収入を得ることが出来、喜ばしいことは事実ですが、税金を余計に支払わなければならなくなるというのは大きな誤算でした。これ、不動産投資の意外な盲点です。不動産業者から提案される物件の中には融資を組めば、節税額を考慮しなければキャッシュ・フローがまわらない、つまり融資金の返済も困難な案件もあります。こうした物件では、命取りになりかねません。不動産投資によって得られる節税効果、それは本当に2年目以降も同様の効果が得られるのか、しっかりとシミュレーションを行っておく必要があります。
 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ