「民泊元年」と呼ばれた2016年は、関連するニュースが多く見受けられました。2020年の東京オリンピック需要を見据え、「訪日外国人観光客の宿泊先不足解消」の手立てとして、民泊は多いに注目されています。しかしその一方で、旅館業に抵触する恐れのある民泊関連の法整備は未だ途中段階となっており、大きな動きが見えないのも事実です。投資の選択肢としても、民泊は無視できない存在となっています。2016年度に行われた法整備について整理してみました。
1.2016年の法整備について
まず、民泊開業のための条件について。手持ちの物件で民泊を始めるには、「旅館業法における『簡易宿所』として認可される」または「国家戦略特別区域内で民泊認定を受ける」ことが必要になります。まず旅館業法の簡易宿所については、2016年4月に規制緩和が行われ、以前に比べると、民泊が開業しやすい内容になりました。規制緩和の主な内容としては、以下の2点が挙げられます。
■宿の床面積:「33㎡以上」から「収容人数×3.3㎡」へ変更
■フロント設置義務:「設置必須」から「緊急時対応の体制を整えれば、設置の義務なし」に変更
次に、国家戦略特別区域での民泊認定について。政府が指定している特区としては、東京都・神奈川県全域、千葉県千葉市・成田市、大阪府、大阪市、兵庫県、京都府、そして北九州市・福岡市です。ただし特区の中には、特区民泊認定にあまり積極的ではない地域が多いと聞きます。「オリンピックに向け宿泊施設の早期増加を」という政府と、地域住民のことを考えながら慎重にルールを定めようとする自治体とで、温度差があるようです。
2.「民泊新法」の制定について
今期待が寄せられている、「民泊新法」。新法の内容は以下の通りです。
■年間180日以内の営業制限
■施設管理者について、「家主滞在型」は届け出、「家主不在型」は運営委託による許可を受ければ営業可能
■住居専用地域内でも可能(簡易宿所としての運営や特区内での運営は不可)
マンションなど
これまでは、用途が「宿泊施設」である建物は、原則として住居専用地域には建築することができませんでした。これまで制限を受けていた「マンションでの民泊運営」が、新法の制定により合法的に可能となるのです。
東京オリンピックまであと4年、増加する外国人観光客の受け入れ先として、需要は高まる一方であるといえます。少しずつ動きを見せる民泊領域。今後民泊投資を検討される方は、これからも要チェックです。