住宅購入は人生のなかで最も高い買い物です。30代や40代と購入者の年代は人によって様々ですが、その後何十年という時間をその物件で過ごすことを前提にして購入することでしょう。ところが最近は「いずれ売却すればいいし」というように売却「ありき」で住宅を購入している人がいます。ただ、この売却ありきは複数のリスクが潜在化しているものでもあります。どのようなリスクがあるのでしょうか。


1、十数年後の「不動産価格」はとても不透明


不動産価格はとても不透明です。オリンピックが不動産価格を決めるすべての要因ではありませんが、2020年を迎えてマンション価格等は高値圏で維持しています。特に首都圏の値動きについては、不動産業界の長い専門家が「これまで見たことがない」という状況。


ところがこの情勢が長く続くことは「絶対」ではありません。将来的な下落を読んで購入した場合も、想定以上の値下がりが発生することもあります。売却ありきで居住用物件を買うことが、「危険」といえる理由のひとつです。




2、子どもが不動産物件を引き継ぐかもしれない


現在は売却ありきで考えていても、将来は子どもが引き継ぐ可能性があります。その場合は「相続」となり、税金が引かれこそすれ売却益は手元に入ってこないもの。子どもがいないからといって安心しても、親族などに「贈与」という形で譲渡となる可能性はあります。売却ありきでの不動産購入を勧めないもうひとつの理由です。


10年ほど先のスパンを想定すると、いずれ「不動産譲渡における税金はかからなくなるのでは」という専門家もいます。親から子へ、祖父母から孫へといった不動産譲渡が成されないと、いつまでも停滞感の強まった不動産資産となってしまう可能性があります。その時に不動産譲渡が推進されると、やはり売却益が残らないという展開に。


3、その時々のライフプランで考えるように

20XX年の売却「ありき」で居住用不動産を購入するのは控えて、「現時点」を見て不動産購入をするようにしましょう。もちろんライフプランは不確定なものなので、当初売却を考えていなくても「売却する」ケースはあります。肝心なのは、売却がなくても「まわる」購入計画を立てるようにすべきということ。売却益を初めから見込んで高めの購入物件を選択したり、住宅ローンを借りたりという方法は、とてもリスクの高いものです。その時々のライフプランを精査して考えるようにしましょう。

 
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