相続等で不動産を承継するも不必要と判断して売却することに決めました。不動産会社との相性も良く、無事に希望した範囲の価格で不動産の売買契約は成立。移転登記や買主への重要事項説明でも問題なく。不動産取得税や登録免許税もぬかりなく支払った売主。
ここで見落としがちな税金があります。それは固定資産税です。固定資産税は土地や建物を所有している際に課税される地方税で、毎年1月1日の所有者に対して課税されます。不動産の売却においては、この「1月1日」がポイントです。
1、不動産の売却の際に固定資産税は「代替払いになる?」
不動産売却の権利移転日が1月1日になることはほぼありません(確率的には1/365ですが、元日は不動産業者や司法書士が休業していることが多く、希望しても難しい場合が多い)。
「それでは、1月10日にAさん→Bさんに不動産を売却した場合、残り350日余りの分の固定資産税はAさんが既に支払っているため、Bさん儲けものでは?」という疑問を持つでしょうか。Aさんが「今年の固定資産税は自分が負担するからいいよ」というケースもなくはないのですが、極めて例外です。通常は、不動産所有権の移転が完了してAさんからBさんに所有権が移った日をもって、固定資産税が「按分」されます。
つまり、Bさん負担分の固定資産税はAさんが「代替払い」していただけであって、後ほどBさんに直接請求されるわけです(不動産会社が代わりに請求する場合もあります)。
2、売主、買主それぞれの準備を
固定資産税の按分については、売主、買主それぞれの準備が必要です。まず売主は、「固定資産税の代替払い分の請求」をしなければなりません。会社としての請求ではないため、期限の決めない請求であることが多く、「いつまでに納める」ということでトラブルになることも。せっかく不動産売買で繋がった関係がもったいないですね。
一方で買主は「原資」が必要です。買主は不動産を購入する際、物件価格のほかにも「このようなお金がかかりそう」という諸費用を算出している場合が多いのですが、代替払いの固定資産税は試算の対象から外れていることもしばしば・・。それでいて不動産の税金のため、支払いをする金額は予想を超えて高額になってしまうことも。
固定資産税の代替を終えて、本当の「不動産売買の完了」です。売主も、買主も、必要な準備と手続きを売買契約の決まる前から認識し、対応したいものですね。