自分が所有する物件を、賃貸用として誰かに提供したい。でも空室が続くのは困るし、他の賃貸用物件とどう差別化をはかったらよいか分からない…。そんな時に是非検討したいのが、「借主負担DIY」。DIY(Do It yourselfの略)は、広く知られた言葉ですね。「キッチンに小さな棚を付けたい」「リビングの壁紙を張り替えたい」など、「リノベーション」とまではいかなくとも、個人の趣味嗜好に合わせた「住まいづくり」ができるとして人気が高まっています


1、DIY型賃貸借のすすめ


国土交通省が2016年に作成した「DIY型賃貸借のすすめ」は、増え続ける空き家対策のひとつとして、DIYを活用するために設けられました。個人住宅・賃貸住宅どちらにも活用可能な当ガイドブックには、「DIY型賃貸借とは何か」「DIY型賃貸借の手順」「契約の取り決め事項のポイント」「DIY賃貸借に関する契約書式の例」などが記載されています。

貸主と借主の間でコミュニケーションをとり、当該物件でのDIYの仕様を計画、互いに合意がとれた時点で、改修費用を借主が負担する形で契約を締結する…という借主負担DIY。国土交通省の定めるガイドラインには、貸主と借り主の間の取り決めについて以下のように記載されています。


入居前の事前確認事項

DIYを実施する際の確認事項

①DIY実施可能な箇所(壁、床、棚、収納、トイレ、台所、風呂等)の選定

⑥DIYの実施箇所の確定(①と同時の場合もあり)

②施工方法、時期、必要な近隣対応の検討

⑦施工方法、時期、必要な業者の選定(②と同時の場合もあり)

③実施箇所について原状回復義務の免除

⑧実施後の確認方法

④実施後の確認方法

⑤実施箇所、入居時期、契約期間等を考慮した家賃設定




2、DIY型賃貸借のメリット・デメリット


「貸主・借り主どちらにもメリットがある」と言われる借主負担型DIY、双方のメリットについてまとめました


■貸主

・現状の状態で賃貸でき、修繕の手間、コストがかからない

・DIY工事により借主が愛着を持って住んでくれるため、長期入居(=長期収入)が見込まれる

・DIY工事により、設備や内装がグレードアップして戻ってくる可能性がある


■借主

・自分好みの仕様にカスタマイズ、リフォームできる

・自己負担を加味し、安い賃料で借りられる

・修繕費が自己負担なので、業者との交渉しだいでは初期投資を比較的安く抑えられる

・退去時の原状回復義務が免除されるので、トラブルが少ない


例えば、「田舎に家があり、ところどころ改修が必要なのは分かっているけれども手が回らない、改修費も簡単に出せない」という場合や、「都内に賃貸用住宅を設けようと思っていつつも、空室が続かないように他の物件と差別化をはかりたい」という場合でも、居住に支障があるほどの大きな傷みがなければ、そのまま借主に提供することができます。

扱いに困っていた空き家や、借主が見つからない空室をお持ちの方は、是非検討してみてください。


 
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