2015年に相続税の基礎控除が改正されました。「うちは相続関係ないよね」という家族のなかにも対象となる方が増えています。都市部で現金と持ち家(不動産)を所有している人の中には親から「相続資産を受ける」ケースに対応しなければならない方がいらっしゃいます。それが、「実家の相続」です。実家の相続は親の実家を引き継ぐ子世代にとって相続時の大きな問題となります。

1、「実家の相続」で欠かせないポイント

まず実家の相続では、自身が「受け手」となることがひとつめのポイント。親の財産を配偶者、兄弟間で分け合うことになります。親に遺言がある場合はその内容を優先しますが、なければ相続する人たちのあいだで話し合って決めます。これは各自が相続を知った時から10カ月以内に相続税の申告までを完了させなければなりません。

「なんだ10カ月」もあるのかと言いたいところですが、死者を見送って、49日法要まで喪に服して、そこからだと9カ月足らず。そのあいだに資産を把握して、家族間で話し合う必要があります。ましてや東京や大阪など都市部に出てきている相続人が多ければ、短期間で何回も打ち合わせできるものではありません。片道数万円の交通費と宿泊費、仕事を休むことによる時間的なロス。そして何より、家族まとまって実家に向かわなければならず、各自の都合よりも優先しなければいけないことも大変な問題です。

そのため、「相続の前に資産を共有しておくこと」が大切となります。エンディングノートを親と一緒に作成しておくことも方法のひとつですが、遺言の内容を親と共有しておくことがベストの方法といえるでしょう。これは現金だけではなく、不動産の評価額や証券の評価額、遺言の有無も対象です。そのなかで特に大切なのは、「実家の相続」です。



2、「実家」はいくらなのか

もうひとつポイントになるのが、「実家」の値段です。親が住んで、20年や30年が経過した実家は、新築で購入(もしくは建築)した時と比べて価格(評価額)が著しく低下しています。それでも相続の資産であることには変わりなく、複数の相続人がいる場合はいずれかが相続資産として受け取らなければなりません。

この「実家を誰が受け取るか」が離れた親からの相続は大きなポイントになります。実家を受け取れなかった(受け取らなかった)兄弟はその分の資産を受け取る権利があるのも1つのポイント。この部分をどうするか、生前に親と子世代で話し合っておくことが大切です。たとえば実家を長男が1,000万円の評価額で受け取ったとき、次男は同様に1,000万円以上の資産を相続する権利があります。また、配偶者が残っている場合はまず実家の名義を配偶者に移しますが、配偶者が亡くなったら子どものいずれかが相続しなければなりません。

この時にも相続税がかかるため、最初の相続の段階から包括的に対策することが必要といわれています。これを「二次相続」といいます。

「実家の相続」について欠かせないポイントを2点解説しました。親の生前から、長い時間をかけて意思統一と、話し合いが不可欠ですね。

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ