不動産会社や建築会社の営業を受けて建築した「賃貸アパート」。ところが、当初の目的が大きく外れて、建築後数年で低い入居率となる。そんな事例が報告されています。まさにアパートローン「プチバブル」。全国紙でも警鐘が鳴らされています。


1、介護施設という盲点と、意外なデメリット


問題となっているのは、少子化を始めとした賃貸アパートの入居率低下です。どれだけ若者に受け入れられるデザインのアパートを建築したとしても、その地方に該当の年代が少なければ入居率は高くなりません。そこで、いま増加している年代は何かと考えたときに、請負建築で介護施設を建てるという考え方があります。デイサービスや多目的介護施設、サービス付き高齢者住宅という考え方です。


この時の請負住宅とは、地主が建物の建築費を負担して建物を建てること。入居する業者とは定期借家契約などを締結し、「途中で出ていかない保障」を結んだうえで建築費を負担します。入居する業者が「保証金」の名目で建築費の一部分を負担する場合もあります。請負建築のほかには、業者に土地を貸して業者の負担で建設する定期借地や、業者に売却する方法があります。


介護施設の建設は、本格的な高齢化社会の到来に向けて適切な方法です。ただ、介護施設の建設は、注意すべき2つのデメリットがあります。




2、介護施設の建設は費用が割り増しになる


介護施設に足を踏み入れたことがあるでしょうか。手すりやオストメイトのお手洗い、部屋のナースコールやバリアフリー設計の部屋など、通常の賃貸アパートに比べて割増の費用が必要となります。また、終の棲家としての性格を持つ以上、入居者が亡くなることも想定しなければなりません。その時は、借主が替わるときの念入りな清掃代も必要です。


また、介護施設と叫ばれても、既にこの先10年20年のニーズは多くの介護業者が掴んだうえで店舗展開をしています。実際に介護施設をオープンしても、思ったほどの入居者が集まらず、撤退を決断する業者も増えているという話を聞きます。

介護施設だから上手くいく、賃貸アパートだから先は暗いではなく、ケースバイケースで考えていくことが大切です。不動産会社や建設会社、そして介護会社から運営計画が持ち込まれる際は、理想を追い過ぎず、現実的な眼を持つようにしましょう。それが賃貸オーナーを救うポイントとなります。

 
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